共同親権導入を巡り、事実上の単独親権維持とも指摘される「法務省法制審」と、国際基準のフルスペックでの共同親権導入を訴える「民間法制審」の2つの制度案を、自民党法務部会が検討する中で当事者の水面下の攻防が過熱している。
そうした中、パートナーに子どもを連れ去られた当事者たちの間で波紋を広げたのが、自民党の広瀬めぐみ参院議員のツイッター投稿だ。
広瀬氏は26日、議員会館での打ち合わせの様子を画像にアップ。「10/26 最後はシングルマザーズフォーラム(注・原文ママ)の方々がいらして。なんと私の離婚本を持って来て下さり、久しぶりに自分が弁護士であったことを思い出しました」と述べた。広瀬氏は弁護士出身。「離婚本」とは過去に監修を務めた離婚に関する書籍とみられる。
この投稿が物議を醸したのは、広瀬氏の会談相手が、かつて共同親権導入に強く反対したことで知られる認定NPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」理事長の赤石千衣子氏(写真中央)だったためだ。赤石氏は法務省法制審の委員の1人でもある。
広瀬氏はツイートに「共同親権の議論は困難ですが、男女が同等の権利を持つのは当然。女性の社会経済的地位の向上がここでも課題の一つと思います」と持論も加えて、赤石氏に同調する姿勢を見せた。
広瀬氏は今年7月の参院選で岩手選挙区から出馬し初当選。「小沢王国」の岩手で自民党候補が参院選で勝利したのは30年ぶりだった。とはいえ、まだ全国的には無名。ツイッターのフォロワー数も1000ほどと少ないが、投稿は、SNSで活発な「連れ去り被害」の当事者らにすぐに発見され瞬く間に炎上した。
シングルマザーファーストからチルドレンファーストへ、よろしくお願い申し上げます
世論は圧倒的に共同親権賛成です。国際標準の共同親権と、公平な共同養育計画義務化をお願いいたします。
DVや虐待への救済は必要ですが、多くの罪のない片親から親権を剥奪し、親子断絶となる現行制度はとんでもない人権侵害です。
などと続々と書き込まれる事態となった。
自民党内の共同親権論議を巡っては、生前の安倍晋三元首相も重大な関心を持ち「民間法制審」を支持。「法務省法制審」に傾きかける安倍派の議員を個別に呼び出しては真意を確かめ、一部議員が左翼系“活動家”と接触していることを問題視していたことが本サイトの取材で明らかになっている(関連記事)。
広瀬氏の投稿はすでに安倍氏に近かった保守系議員も把握している模様だ。今後の党内での制度論議にどのような影響を与えるか注目される。
【追記:28日16:40】広瀬氏は28日午後、当該ツイートを削除した。公益性の観点から削除前のスクリーンショットを掲載します。