2022年F1シーズンを通して、毎戦全20人のドライバーの評価/採点を行ったベテランジャーナリスト、ルイス・バスコンセロス氏が、シーズン全体を振り返り、独自の視点で2022年のトップ10ドライバーを選出した。10人のドライバーについての彼のレビューを添えて、カウントダウン方式で10位から1位までを紹介していく。
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■4位:ジョージ・ラッセル(メルセデス)
7度のF1王者ルイス・ハミルトンがいつの日か引退する時に後を継ぐ者を必要とするメルセデスは、ラッセルはその役割を担うのにふさわしい人材であると判断し、バルテリ・ボッタスの後任として迎え入れた。2022年シーズンのラッセルを見る限り、トト・ウォルフ代表のその判断は正しいものだったといえるだろう。
チームの人々からのサポートを十分に受け、自信を持ってメルセデスでの初シーズンに臨んだラッセルは、序盤戦から素晴らしい仕事をした。特にウエットコンディションでの走りは非常に印象的で、順調に自信を高めていったのだが、モントリオールでは落とし穴にはまった。早すぎるタイミングでスリックタイヤへの交換を行い、その判断ミスにより、上位グリッドをつかむチャンスを逃したのだ。だが終盤戦のブラジル予選では小雨が降るコンディションで見事な走りを見せた。それが土曜スプリントでのトップフィニッシュ、日曜の決勝での自身初勝利につながった。
前半戦はマシン改善のための実験に集中していたハミルトンが、後半戦に本来の力を発揮し始めて、毎戦のようにチーム内対決で勝利するようになった。そんななかでラッセルは、鈴鹿とオースティンでは実力にふさわしい結果は出せなかったものの、パニックに陥ることなく地道に努力を続け、愚かなミスを犯さず、非常に良い戦いをした。
上位チームで走る初めてのシーズンに、ラッセルはそのシートにふさわしいドライバーであることを証明し、ハミルトンというF1史上最高レベルの伝説のドライバーをチームメイトに持ちながら、実力をしっかり発揮してみせた。その自信が2023年には彼をさらに高みへと押し上げ、W14のパフォーマンスさえ優れていれば、タイトル争いに絡んでいくことができるだろう。