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朝日[あさひ]御前は、龍[たつ]姫の髪を手ずから梳[す]いてやっていた。巻き上げられた御簾[みす]の向こうには、暖かな日差しの中、吹き渡る春風に薄桃色の花びらが舞っている。 龍姫の部屋の周囲は限られた者しか入ってこられないから、天気の良い日はこうして開け放つことも多かった。龍姫の…