2023年のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第1戦デイトナ24時間レースは、現地時間1月26日(木)に、レースウイークのセッションがスタート。この日は午前、午後、夜と3回のプラクティスが行われた。
28〜29日にかけて予定されている決勝に向けて徐々に緊張感が高まるデイトナのパドックから、レースウイーク走行初日のトピックをお届けしよう。
■最速タイムは02号車キャデラックがマーク
11時05分から行われたセッション1では、ウェイン・テイラー・レーシング・ウィズ・アンドレッティ・オートスポートの10号車アキュラARX-06が、レースウイーク最初の走行でトップタイムを奪った。
2番手にはチップ・ガナッシ・レーシングの02号車キャデラックV-LMDh、3番手にはすでに前週の予選でポールポジションを決めている、メイヤー・シャンク・レーシングの60号車アキュラARX-06がつけた。
午後のセッション2では、今度はチップ・ガナッシ02号車が首位に立ち、10号車アキュラが2番手に。3番手には01号車キャデラックV-LMDhが続いている。
そして夜に入ってから行われたセッション3では、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツの7号車ポルシェ963がトップタイムをマーク。2番手はWTR10号車アキュラARX-06、チップ・ガナッシ・レーシングの02号車キャデラックV-LMDhと続くトップ3のオーダーとなった。
この日の最速タイムは、セッション2で02号車キャデラックのリチャード・ウエストブルックがマークした、1分35秒185となっている。
「トップに立つのは常に気分がいいものだが、これにはあまり意味がないと思うし、深読みしすぎることもない」とウエストブルック。
「今年のGTPクラスは燃料タンク容量が大きいし、他のドライバーがどの程度の燃料を積んで走っているのも分からない」
日中のセッション1とセッション2では、重大なアクシデントを含む、9度の赤旗中断があった。
既報のとおり、セッション1で大クラッシュを喫したウインワード・レーシングのルーカス・アウアーは病院へと搬送され、その後腰椎を骨折していることが判明した。チームはスペアシャシーを取り寄せ、代役ドライバーを立ててレース出場を目指している。
■デビュー戦のLMDhには引き続きマイナートラブルも
GTPクラスでは、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツの7号車ポルシェ963がブレーキトラブルでセッションの大半を失うなど、何台かのマシンがプラクティス1でトラブルに見舞われている。
チームRLLの25号車BMW Mハイブリッド V8はスパークプラグの交換を行ったことで、限られた走行にとどまった。
GTDプロクラスのポールシッターであるウェザーテック・レーシングの79号車メルセデスAMG GT3は、燃料ピックアップの問題でプラクティス1でのラップタイムを記録しなかったという。
その後のセッション2ではジュール・グーノンのドライブにより、最速ラップを記録している。
■「ここではペンスキーのファン」とニューガーデン
タワー・モータースポーツでLMP2デビューを迎えるジョセフ・ニューガーデン。彼は2017、2019年と2度、インディカー・シリーズを制している。
インディカーでは2017年からチーム・ペンスキーに所属しているが、IMSAのトップクラスに出場するポルシェ・ペンスキー・モータースポーツのLMDhプログラムとの関連性については、軽視する発言をしている。
「僕らは、チーム・ペンスキーのファンとして、この場にいるんだ」とニューガーデン。
「ポルシェのプログラム、そして彼らが開発しているものを見るのは楽しいよ。でも、このタイミングをあまり深読みしない方がいいと思う」
■気になるマクラーレンの動向
パドックでは、LMDhへに参戦する新たなマニュファクチャラーのコミットメントが間近に迫っているとの話が続いている。
マクラーレンはこのプログラムの確定に最も近いOEMのひとつと思われる一方、ヒョンデの関心はここ数カ月で薄れてきているようだ。
また、フォードは評価を続けているものの、彼らはル・マン・ハイパーカーのプラットフォームにも注目している。
未確認ではあるが、マクラーレンはシャシー・コンストラクターのマルチマチックと関係があり、LMDhの仲間入りをすることになれば、現在参戦しているアキュラ、BMW、キャデラック、ポルシェ、そして2024年デビューするアルピーヌ、ランボルギーニに続く存在となる。
一方、ダラーラの最高技術責任者であるアルド・コスタは、早ければ2025年までに、BMW、キャデラックに続く第3のLMDhメーカーをサポートすることに前向きであるとしているが、2024年に新プログラムを開始することは「時間が足りない」として否定している。
■4マニュファクチャラーのセーフティカーがそろう
デイトナを前にGTDプロへの戦略的なクラス変更を行なったチームTGMの64号車アストンマーティン・バンテージGT3は、昨年のスパ24時間にハート・オブ・レーシングチームがTFスポーツとともに参戦した際と同じ、TF所有のシャシーだ。
英国に本拠を置き、今回はTGMとコラボレーションするTFスポーツのチーム代表であるトム・フェリエによれば、TFのオペレーションによりデイトナ24時間への参戦を予定していたレーシングチーム・ターキーのオレカ07・ギブソンは、グリッドの定員オーバーのためエントリーが拒否されたという。
しかし、TFのLMP2専用の機材はすでにアメリカに送られていたのだと語った。
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LMDhプラットフォームのデビューを記念して、GTPクラスに参加する各マニュファクチャラーは、デイトナ24時間のセーフティカーとして、市販車をそれぞれ提供している。
アキュラNSXタイプS、BMW XM、キャデラックCT5-Vブラックウィング、ポルシェ911ターボSは、レース前のセレモニーパレードラップに参加し、レース中はセーフティカーの任務を分担する予定だ。