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12月18日(日)、年末の風物詩となったお笑いの祭典『M-1グランプリ2022』が開催された。

結成14年目のコンビ・ウエストランドが 18代目王者に輝いたのは、すでに多くの人が知るところだろう。

©M-1グランプリ事務局

王者・ウエストランドが最終決戦の漫才で放った“毒舌”のひとつは、彼らがまさにその時出場していた「M-1グランプリ」自体に向けられたもの。

「M-1もウザい!“アナザーストーリー”がウザい!」

ウエストランド.・井口浩之が叫んだこの言葉は、会場に大爆笑を起こした。

その“アナザーストーリー”がいよいよ本日12月26日(月)、『M-1グランプリ2022 アナザーストーリー』として放送される。

◆本命不在だった今年のM-1

毎年、M-1グランプリの開催からおよそ1週間後に放送されている「アナザーストーリー」。

大会に人生を懸け、心血を注ぎ込んできた漫才師たちの苦しみや悩み、そして歓喜を、長年追い続けてきた密着カメラの映像で紡ぎ出すドキュメンタリー番組だ。

どんな逆境にもへこたれることなく、「日本一の漫才師になりたい」という夢に向かって突き進むM-1戦士たちの姿は、毎年観る者の胸をアツくさせてきた。

史上最多7261組がエントリーした今年の決勝には、予選を通過した真空ジェシカ、ダイヤモンド、ヨネダ2000、男性ブランコ、さや香、ウエストランド、キュウ、カベポスター、ロングコートダディの9組に、敗者復活戦を勝ち上がったオズワルドを加えた計10組が出場。

初出場5組、決勝経験者4組という顔ぶれから、「本命不在」と噂されていた。

その中で優勝を手にしたのは、毒舌漫才で勝負したウエストランド。最後に登場して笑いをかっさらい、一気に会場の空気を自分たちのものにした。

◆ウエストランドの毒舌に記者たちの反応は

記者はその様子を、大勢の記者が集まる六本木・テレビ朝日の会見場から見届けた。

決勝でウエストランドが見せたのは、「あるなしクイズ」をテーマにしたネタ。井口お得意のひがみも含んだ悪口が冴えわたる“毒舌漫才”だ。

恋愛映画やYouTuberなどを相手に次々に浴びせていくその“悪口”は、理不尽ともいえるほど容赦ない。

観ている方はドキドキヒヤヒヤ…。それでも不思議と笑うのをやめられない。むしろもっと聞きたいと思ってしまう。

M-1もウザい!“アナザーストーリー”がウザい! いらないんだよ。泣きながらお母さんに連絡するな! どうでもいいんだよあんなの。見てらんないんだよ!

©M-1グランプリ事務局

彼らが最終決戦のネタの中でこう叫んだとき、記者はあまりの毒舌ぶりに一瞬不安になった。さすがに大会批判なんて大丈夫か…?と。

しかし、この日取材していた記者たちが一番沸いたのは、紛れもなくこの漫才だった。

それまで一部で聞こえるだけだった記者たちの笑い声は、ウエストランドの毒舌が鋭さを増していくにつれ、爆発的に広がっていったのだ。

番組制作のスタッフも多く集まっていたこの日の会見場。「M-1」というイベントに携わる人たちが詰めかけた場所が、「M-1」をディスる漫才で笑いに包まれる。なんとも不思議な光景だった。

大会後には、そのとき放った毒舌のせいで『アナザーストーリー」の密着スタッフとの間に気まずい空気が流れているとぼやいていた井口。

「M-1」という大会はおろか、そのドキュメンタリー番組にも牙を剥けた彼らが、果たしてどんな“裏側”を見せてくれるのか。

今年の『アナザーストーリー」は、いつも以上に目が離せない。