IMSAテクニカルディレクターのマット・クルドックは、先週末のプレシーズンテストのデータによって、ウェザーテック・スポーツカー選手権内の階層化予測が「検証された」として、デイトナ24時間レースに向けたLMP2クラスの性能変更は行わないと表明した。
1月20〜22日にデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで行われた公式テスト『ロア・ビフォア・ザ・ロレックス』では、LMP2のオレカ07・ギブソンがLMP3マシンと同等の性能レンジとなっていることに、何人かのドライバーが懸念を示していた。
これは、新たな最高峰クラスGTP=LMDh車両の登場に伴うクラス間のパフォーマンス調整の一環として、LMP2車両により厳しいエンジン回転域の制限が設けられたためで、これにより約50馬力程度出力が低下している。
しかしながらクルドックは「我々は12月のテストで試したものに従って、ロアで再び検証したパフォーマンスレベルのまま、ロレックス(デイトナ24時間)に臨もうとしている」と、ロア・テストの状態から性能を調整することを否定した。
「5つのクラス間の階層化については、我々は非常にタイトなタイムギャップとトップスピードのウインドウ(幅)の中に、多くのマシンを押し込もうとしている」
「ロアでは、LMP2からLMP3、そしてGTPへの階層化が予想どおりに行われた。我々の意図は、これをデイトナ(24時間)まで貫くことだ」
一方でクルドックは、現在のLMP2の性能レベルは3月の第2戦セブリング12時間レースに向けては再評価されるだろう、とも語っている。IMSAは2月中旬にフロリダ州セブリング・インターナショナル・レースウェイで行う公認テストを利用して、さらなる評価を行う予定だ。
「セブリングで適切なバランスを確認する機会があるのだから、それを無駄にしたくないのは確かだ」とクルドックは言う。
「デイトナはユニーク(なコースレイアウト)だし、セブリングでGTPをLMP2やLMP3と同時に走らせることで、我々の予測がどれだけ現実に即しているかを理解したいんだ」
「LMP2への変更を最小限に抑えることが我々の目標だ。我々は、クラス間に適切なギャップがあることを確認したいだけなんだ」
「デイトナでのGTPカーの性能は、IMSAの期待に沿うものだ。しかし、セブリングのようなサーキットでのダイナミクスは、デイトナでのそれとはまったく異なるだろう」
■初開催&最舗装コースは「未知」
デイトナ24時間のポールポジションを獲得したメイヤー・シャンク・レーシングのアキュラARX-06は、DPiのコース予選記録にコンマ6秒差まで迫ったが、クルドックはこの傾向がウェザーテック選手権のすべてのコースで継続するとは限らないことを示唆した。
「(LMDhの)パワーとドラッグの比率はDPiより優れており、デイトナのようなサーキットではそれが顕著に表れる」と彼は言う。
「しかし、セブリングのような重量とダウンフォースが重要な要素となるサーキットでは、それはあまり重要ではないだろう」
「2月の(セブリング)テストで適切なセッティングを確認すれば、自信を持って12時間レースの週末を迎えることができる」
さらにクルドックは、「我々の開催スケジュールには、パワーに敏感なサーキット、マスに敏感なサーキットなど、さまざまなコースがあり、DPiと比較する人がいれば、そこに波があることが分かるだろう」と付け加えた。
「(新規開催地の)インディアナポリス、最舗装されたラグナセカ、ロード・アメリカは、我々の予測に対して未知の部分を投げかけている」
「だが、GTPが必要なところまで開発が進み、LMP2が2023年仕様のコンフィギュレーションになり、このふたつのプラットフォームが共有するサーキットでのトップスピードとラップタイムのギャップにおいて、互いに安定していることと期待しているよ」
「これについては、我々がこれからも注視していかなければならない部分だ」
「(デイトナという)ひとつのサーキットで検証したからといって、成功したとは言えないだろう」