ファンのために熱いレースを展開してくれるスーパーGTドライバーたち。SNS等でも散見されますが、所属するチームやメーカーによって差はあれど、多くのドライバーが“繋がり”をもっています。そんなGTドライバーたちの横の繋がりから、お悩みを聞くことでドライバーの知られざる“素の表情”を探りだす企画をお届けしております。今回はBMW Team Studie × CSLのアウグスト・ファーフス選手から、NISMOのロニー・クインタレッリ選手に繋がりました。
しばしばSNS等でも見られる、気になる2ショット。「へえ、あのドライバーたち、仲良いんだ」とファンの皆さんも驚くこともあるのでは。そんなGTドライバーの繋がりをたどりつつ、ドライバーたちの“素”を探るリレートークがこの企画です。これまでの連載は、まとめページを作りましたのでぜひご参照ください。
前回、アウグスト・ファーフス選手から「日本でいちばん美味しいピザ屋を教えて!」、「日本語がどうやったら上達するか教えて!」というロニー選手向けらしい質問をもらいました。実は取材したのはけっこう前なのですが、第8戦もてぎ翌日のカーボンニュートラルフューエルテストのときにお時間をいただきまして、質問をぶつけてみました。
ではどうぞ!
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■イタリアのレーシングカートコースが最初の出会い
──ロニーさん、テストのインターバルにお時間いただいてスイマセン。
ロニー・クインタレッリさん(以下ロニーさん):それで、今回は誰から回ってきたの(笑)?
──鋭いッ(笑)。ロニーさんの想像どおり、前も一度取材したお悩み相談ショッキングです。今回は、アウグスト・ファーフスさんから回ってきました。アウグストとはどれくらい前から知り合いなの?
ロニーさん:初めて会ったのは1999年だったかな。彼がイタリアのCRGというカートチームに入ってきたんですね。当時はCRG、ビレル、トニーカートがやっぱりトップチームで、CRGのドライバーとして入ってきた。
今もやっているんだけど、イタリアでは2月にサウスガルダというカートコースで、ウインターカップという大きなイベントがあります。シーズン開幕前のイベントなので、新しいシャシーとかドライバーが出場する。僕はいちばん上のクラスで出場していて、彼がひとつ下のクラスで出ていた。その時は僕が優勝して、ひとつ下のクラスで優勝したのがファーフスなんです。
当時は“アイルトン・セナ・ダ・シルバ”みたいに彼の名前は今とは違う感じで、『アウグスト・ドス・サントス』という名前で出てましたね(編注:ファーフス選手のフルネームはアウグスト・セレスティーノ・ファーフス・ドス・サントス・ジュニオール)。でもみんな彼のことは知らなくて、表彰式で初めて僕も会いました。
──へ〜! 意外な初対面。アウグストいわくフォーミュラ・ルノーにも一緒に出ていたって聞いたけど。
ロニーさん:次の2000年に、僕がカートから卒業してフォーミュラ・ルノー2000のイタリア選手権にプレマパワーチームから出場しましたが、彼も出場してきました。僕はプレマで、彼はクラム・コンペティションというチームに入って、ファーフスとフェリペ・マッサがチームメイトだった。
僕はマッサも知らなかった。マッサはブラジルでフォーミュラ・シボレーに出ていたので四輪の経験があったんだけど、ファーフスは四輪デビューの年でしたね。2001年は僕はフォーミュラ・ルノーのユーロカップにステップアップして、彼も一緒に上がったので、3年間一緒にレースしていましたね。
■都内でのオススメのピザ屋さんはココ!
──なるほど〜。そんなファーフスさんからお悩みが来ているんだけど、『日本でいちばん美味しいピザ屋を教えて欲しい』と。
ロニーさん:マジですか(笑)。ミシュランタイヤの使い方じゃなくて(笑)?
──それは言ってなかった(笑)。
ロニーさん:いちばん美味しいのは、イタリア人がやっているお店で、兄弟で日本に来ているんだけど、ひとつが駒沢の国道246号沿いにあって、もうひとつは神谷町にあるお店。ナポリの人たちなのでイタリアから直接食材も入れているし、本物のすごく美味しいピザが食べられます。
──ほう。名前は?
ロニーさん:え〜と、ちょっと検索してください。
──これ?『ナポリスタカ』?
ロニーさん:それ! 良く分かりましたね。
──検索候補で出てきたよ。
ロニーさん:ピザは生地がすごくて、モッツァレラチーズもすごく美味しい。先月もガンベロ・ロッソという格付けで表彰もされてましたね。駒沢のお店の方がお兄さんなんだけど、モータースポーツが好きで、MotoGPが特に大好きみたい。神谷町は弟さんがやっています。
──(食べログを見ながら)これは美味しそう。オススメは何かある?
ロニーさん:変わった形のピザがあって、星形のものがあるんです。
──これ?
ロニーさん:そうそうそうそう! これは美味しいです。
ナポリスタカ 駒沢店
https://tabelog.com/tokyo/A1317/A131707/13188330/
ナポリスタカ 神谷町店
https://tabelog.com/tokyo/A1307/A130704/13132020/
(食べログさんが開きます)
■ロニー選手的日本語上達法は
──これはワタクシも今度行ってみます。で、もうひとつ相談があって、『どうしたら日本語が上達するか?』というものなんだけど。
ロニーさん:それはねぇ……。まず日本にいないと難しいけど、オススメとしてはまずは辞書を買って単語を覚えることと、平仮名と片仮名を覚えること。それだけですごく変わる。
──漢字はやっぱり難しい?
ロニーさん:漢字はやめといた方がいい(笑)。僕もそうなんだけど、最初音で聞くだけでは分からない部分があります。例えば『ありがとう』だと、『う』まで入っているかは音だけでは分からないんですね。でも平仮名と片仮名を覚えると、字と音が繋がります。パソコンで入力するときでも『ありがと』まででは出てこないし、音もちゃんと『う』まで入れていないと、通じなかったりします。
まずは平仮名と片仮名を覚えるんだけど、僕の場合は1週間平仮名、1週間片仮名を覚えて、あとは街中の看板を見たりして、頑張って読むようにしていました。それでかなり変わりましたね。彼は移動も多いと思うので、飛行機の中とかでちょっと努力して、スタッフに新しい単語をぶつけてみるといいと思います。みんなも喜ぶしね。
──なるほど。言葉を覚えるのは大変ですな。ちなみにロニーさん、アマトリチャーナパスタについては解決した?(編注:ロニーさんの1回目の登場では、ジュリアーノ・アレジ選手に「美味しいアマトリチャーナパスタの作り方を教えて」という質問をぶつけていました)
ロニーさん:読んでない(笑)。いつアップされたんだっけ?
──夏くらい。え〜と、ジュリアーノ・アレジさんのレシピを説明しとくと……(以下、ジュリアーノさんに聞いた内容をロニーさんに説明)。
ロニーさん:ぶっつけ本番でここまで説明してくれたの? 彼、すごいですね(笑)。グァンチャーレを使うのはなかなかハードル高いですよ。
──グァンチャーレってそんなに食べられないもの?
ロニーさん:高級レストランとかに行かないと出てこないんじゃないかな。普通はベーコンとか。まさかグァンチャーレが出てくるとは(笑)。
■あのバトルはすごかった!
──というわけで、またロニーさんの悩みを聞かなきゃいけないんですよ。
ロニーさん:誰の悩み? あ、そうか。僕の悩みか(笑)。また誰かに回さなきゃいけないんだ。……そうだ。僕、実はあまり話したことはないんだけど、富田(竜一郎)くんは?
──一度出たけどぜんぜんいいよ。てかあまり接点ないの?
ロニーさん:ないない。でも第8戦のレースを見ていて、ずっと1周近くサイド・バイ・サイドでバトルしていたじゃない。あれは本当にすごかったですね。
──たしかに。
ロニーさん:彼は性格も良いし、もちろんいつも挨拶はするんだけど、今朝はホテルのロビーで会った時に『昨日はスゴかったね〜』と話しかけてしまいました。彼に聞きたいのは、日本人ドライバーは今はみんなレーシングカートに乗って、キャリアを積んでいるじゃないですか。でも彼は聞いたところでは、カートもやっていないし、急に伸びてきたドライバー。なのに、もてぎの3コーナーでもV字でも、あんなスゴいバトルをする。僕はあれをできる勇気がない(笑)。
僕だったら一度うしろに下がってまたチャンスをうかがいますけど、どうしたらあんなバトルができるのか聞いてみたい。
──しかも、普通はカートをやっていないとああいうバトルの感覚は身につかないよね?
ロニーさん:そう。そのとおり! だから彼があんな感覚をどこで身につけたのか知りたいし、どういう気持ちであのバトルをしたのか聞いてみてほしいです。さっきのアマトリチャーナパスタ以上に気になります(笑)。
──かなりタイヤが厳しかったみたいだけどね。
ロニーさん:同じくらいのタイヤの状況だったら分かるんですけど、たぶんあのときは1秒近くラップタイム差があったと思うんです。でもそのなかでタイヤの限界を使い切ってのバトルだったし、みんなモニターを見ながらスゴいと思っていたくらいですよ。
──オッケー。ではそれで聞いてみましょう!
観た方多数とは思いますが、ロニーさんの話に出てきたバトル↓
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そんなこんなで、次回はスーパーGT第8戦もてぎでファンをうならせた大バトルの状況を、富田竜一郎選手に聞いてみようと思います。
ではまた次回!