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まとめ

  • 高血圧の判断には家庭での血圧測定が大切です。
  • 血圧を測る器械は、二の腕に巻くタイプの物を購入しましょう。
  • 高血圧の記録にはスマホのアプリなども便利です。

皆さんは自分の血圧がどれぐらいかご存じですか?検診などで「血圧が高いですよ」と指摘された経験のある方も多いのではないでしょうか。

血圧が高い疾患である「高血圧症」は、現在の日本で最も通院している人が多い病気です (参考文献 1) 。令和元年度の国民健康栄養調査によると、50代で 17.6% / 60代で 36.1% / 70歳以上でなんと 51.7% もの人が血圧を下げる薬を飲んでおり (参考文献 2) 、高血圧症は最もポピュラーな病気の一つといえます。

高血圧症は放置していると脳卒中心筋梗塞慢性腎臓病などの原因となり、年間約10万人が高血圧に関係する脳心血管病で亡くなっているとされています (参考文献 3) 。

実は「家での血圧」が高血圧症の診断に重要になってくるのですが、今回の記事では血圧を家で正しく測る方法についてお伝えします。

この記事を書いた医師

大坂 貴史

Takafumi Osaka

医師 / 糖尿病専門医 / 医学博士

『糖尿病で不幸になる人を少しでも減らす』ために Twitter、YouTubeニュースレターで医学情報を発信しています。
趣味は料理とワイン。合氣道、居合道、弓道、有段者です。健康は筋肉!

なぜ家での血圧測定が必要なのか

なぜ家での測定が必要なのでしょうか。実は血圧は極めて変動しやすく、少しの環境の違いによっても大きく変わるものなのです (参考文献 3) 。

色々な環境で測定された血圧の中で、自宅で一定の条件で測定された血圧 (家庭血圧) が将来の合併症と最も関係すると言われており、高血圧症の診断、治療効果判定などにも家庭血圧測定が重要です (参考文献 3) 。

家での血圧測定方法

血圧計の選び方

家で血圧を測る場合、上腕カフ血圧計 (上腕部分に『カフ』と呼ばれる細長い袋状の布を巻いて測定するタイプの血圧計) を用います。

上腕カフ血圧計は、日本工業規格「JIS T 1115:2005  (非観血式電子血圧計) 」の認証を受けている物を選びましょう (参考文献 4) 。

※ 具体的な血圧計については、こちらの日本高血圧学会のページにあるリストをご参照ください。

手首に装着する血圧計もありますが、測定結果が不正確になる場合があり (参考文献 4) 、基本的には上腕用のカフがついた血圧計が望ましいです。

上腕カフ血圧計の例

血圧の測り方

正しく血圧を測定するために、いくつかのポイントを抑えておきましょう (参考文献 3) 。

まず準備です。

  1. 厚手のシャツ・上着などを着ている場合には脱ぎましょう。
  2. 背もたれ付きの椅子に足をくまずに座ります。血圧測定は座った姿勢で「1-2分間安静にした後」に行います。 
  3. 血圧計のカフを二の腕に巻くときには、肘より 2-3 cm 上に巻きます。血圧計の取扱説明書に記載がある場合にはそちらを優先してくださいね。

以上で準備は完了です。血圧の測定中はカフ中央を心臓の高さに維持しましょう。

血圧測定のタイミング

1日の中では、次のタイミングで血圧を測定しましょう (参考文献 3) 。

    • 起床後1時間以内
    • 排尿後
    • 朝の薬を飲む前
    • 食事を食べる前
  • 就寝前

原則1-2分の間隔をあけて2回連続で測定し、その平均値をその時の血圧として記録します。

高血圧の診断には、5~7日分の朝晩それぞれ血圧を測定した平均値のデータを用います (参考文献 3) 。

家庭血圧が 135 / 85 mmHg 以上の場合は高血圧症と診断される可能性が高いです。当てはまる方は病院で相談してくださいね!

測定した血圧の記録

また、血圧を記録する方法としてノートなどに書いたりしても良いのですが、最近は記録帳としてのスマホのアプリなどを用いたり、血圧計から直接スマートフォンにデータを飛ばすことも可能になっています (参考文献 5) 。

スマホのアプリに関しては例えばオムロン製品であればオムロンコネクト、タニタ製品であれば mHealth といった血圧計以外の自社製品ともリンクできるアプリケーションが準備されていますし、血糖測定器など他社製品とリンクさせるにはシンクヘルスなどを利用するのも良いと思います。

ご自身のやりやすい方法で、日々の測定結果を記録してくださいね!

なお、血糖値が気になる方は、こちらの記事↓も読んでみてください!

COI

本記事について、申告すべき COI はありません。

COIの開示基準については、日本内科学会の『医学研究の利益相反(COI)に関する共通指針』に準じています。より詳細はこちらをご覧ください。

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