2022年もあとわずか。2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤーの今年を代表する一台には、日産「サクラ」/三菱「eKクロスEV」が選ばれた。日産の受賞は、昨年のノートシリーズに続く、2年連続。経営危機やトップの不祥事など、苦難が続いた日産だが、こうして現在評価されていることは、クルマファンとしては、うれしいことだ。
ただ、日産には「出せば売れるのに」というクルマがまだまだたくさんある。来年以降への期待を込めて、日産に期待したい新モデルを3つご紹介したい。
文:立花義人、エムスリープロダクション
写真:NISSAN
絶対売れるはず!! 「キューブキュービック」の後継車
「キューブキュービック」は、2代目Z11型キューブの派生車種として2003年に設定された3列シート7人乗りモデルだ。ベースとなるキューブから全長とホイールベースを140mm延長し、広い室内空間を実現した。キューブの直線基調で個性的な左右非対称デザインはそのままに、十分なニースペースと広いヘッドルームを確保。後席ドアは開口部を広げ、乗降性が高められた。
パワートレインは1.4L 直4ガソリンエンジンで当初はFFのみの設定であったが、後に必要な時だけスイッチ操作で後輪をモーターで駆動する「e-4WD」を追加。ホイールベースが延長されているとはいえ全長は3,900mmに収められ、最小回転半径は4.7mと軽自動車並みであり、狭い道路での使い勝手は非常に高かった。
このキューブキュービックのコンセプトを受け継ぐ、e-POWER車もしくはバッテリーEVを登場させれば、絶対に売れると思うのだが、どうだろうか。ライバルのフリード、シエンタと同様に、後席スライドドア化は必須だが、いま見ても一切古臭さを感じないキューブキュービックのエクステリアならば、サクラやノートなどと同じくハイセンスなインテリアを投入すれば欲しいと思う人は多いはず。廉価なモデルでも、一切手を抜いていない昨今の日産デザインならば、かつてのように国内販売台数トップに躍り出る可能性は高い。いまもっとも熱望したい一台だ。
ブームのいまこそ復活させるとき!! 「ラシーン」の後継車
「ラシーン」は1994年から2000年まで販売されていた、コンパクトクロスオーバーSUVだ。7代目B13型サニーの4WDをベースに開発され、直線基調のレトロクラシックな外観が魅力のモデルだ。ドラマやアニメにもなった漫画作品「ゆるキャン△」(あfろ著/芳文社)で、主人公のひとりが乗っていたこともあって人気が上昇しており、ラシーンの中古車を取り扱う専門店もあるほど。
80年代のカクカクしたデザインテイストに、大きくて愛らしい表情をつくり出すヘッドライト、そして雰囲気を盛り上げるグリルガード。リアゲートは上下二段の開閉機構となり、背面タイヤを備えている。パワートレインは当初1.5L 直4ガソリンエンジンのみのラインアップだったが、後に1.8L 直4エンジン、そして2.0Lエンジンを搭載した「フォルザ」グレードなども用意された。
せっかくブームなのだから、このアイコニックなエクステリアデザインを踏襲し、e-POWER車かバッテリーEVとして復活させてほしい。インテリアは、当時の趣を維持し、水平基調でシンプルながら、よく見ると最新のフル液晶デジタルメーターを投入しているといった姿がよいと思う。時代に即して、車高を上げたハイリフト版の次期型ラシーンも用意してみてもいいだろう。これで大自然に出かければ、「映える」こと間違いない。これほどのデザイン資産があるのに、復活させないのは非常に勿体ない。
いまこそ再チャレンジを!! 「スカイラインクロスオーバー」の後継車
「スカイラインクロスオーバー」は、2009年に登場した、3.7L V6DOHCガソリンエンジン+7速ATによる力強い加速、贅沢なシャシーとサスペンションシステムによる高い操縦性やスタビリティなどが特徴のモデルだ。ゆったりと優雅に流れるフェンダーやルーフライン、躍動感のあるリアビューでありながら、18インチの大径アルミホイールやブラックカラーで引き締められたボトムセクションなど、SUVのような力強さを融合させたデザインも魅力だった。
装備面でも、全車速追従機能付のインテリジェントクルーズコントロール、衝突被害軽減ブレーキ、車線逸脱警報といった、当時としては先進的な安全運転支援システムのほか、リモコン可倒式リアシート、ウエルカムライト、格納式コートハンガー、Boseサウンドシステムといった高級車ならではの装備が充実。「高級クロスオーバーSUV」ということであればハリアーが先駆けではあるが、スカイラインクロスオーバーはその名に恥じない運動性能と乗り心地の良さで、ワンクラス上を狙った、プレステージ性の高いモデルだった。
このスカイラインクロスオーバーも、クラウンに「クロスオーバー」が登場したいま、復活させるときではないだろうか。次期型では、さらに上級モデルとして生まれ変わり、ボディは大型化、シーマクラスのロングボディのハイリフト版がいいだろう。大型化したぶんは、得意の後輪操舵を投入して最小回転半径を小さくする。パワートレインは、新型エクストレイルのVCターボe-POWERのユニットでもよいが、できることならば、V6ターボe-POWERをやっちゃうような「超絶サプライズ」を詰め込んでほしい。日産の次世代フラッグシップとして復活させるのだ。
賛否両論が巻き起こったトヨタのクラウンクロスオーバーは、外野の心配をよそに十分な手ごたえを得たようす。地に落ちたセダン需要とはまったく別のセダンベースのクロスオーバーは、本来は、日産にいち早くやってほしかった。
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日産は、長年の懸念材料であったルノーの出資比率を下げる要請を行い、近々合意に達する見通しのようす。日産とルノーの資本関係が見直されることで、日産の車両開発への自由度は高まることが期待できる。そうなると、これらの新3モデルも、ひょっとすると夢ではないかもしれない。2022年は、国内市場へ多くの新型日産車が投入され、国内の反応も非常に良い状況。日産は海外市場が前提の車両開発となりがちだが、活気を取り戻しつつあるいまが、国内市場に力をいれるときだ。ぜひ、この3車種の後継車を実現させてほしい。
【画像ギャラリー】新モデルになって復活させてほしい、日産の名車たち(14枚)画像ギャラリー投稿 出せば…売れるのに…!! 日産に期待したい新モデル3選 は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。