三菱のコンパクトカー、ミラージュがすでに生産を終了していることがわかった。同車ウェブサイトに2022年12月21日、「ミラージュは生産終了のため、ボディカラー、オプションなどがお客様のご希望に沿えない場合がございます」と記載されたことから判明したのだが、その44年の歴史を振り返ってみよう。
文/ベストカーWeb編集部、写真/ベストカー編集部、三菱
■電動パワステの法規対応が困難で生産終了に
現行型6代目ミラージュが登場したのは2012年8月。現行ミラージュは先代型となる5代目ミラージュが2000年5月に生産終了し、その名前を冠したコンパクトトールワゴンのミラージュディンゴが2002年9月に生産終了してから10年後に登場。
歴代モデル初のグローバル戦略車としてタイ生産モデルとして日本にも導入。直3の1LDOHC、のちに同1.2LDOHCを追加し、2015年と2020年の2度にわたってフェイスリフトを中心としたマイナーチェンジを行っていた。
今回、ミラージュを生産を終了したのは電動パワステに対する法規対応が困難なことが主な理由だという。今後は在庫車のみの販売になる。これまでに国内で約5万7000台、グローバルで約82万台を販売してきた現行ミラージュだが、その役割を終えて静かに幕を引こうとしている。
■エリマキトカゲのCMで一世を風靡した2代目
そもそもミラージュは三菱初のFF車として1978年3月に初代モデルが誕生。3ドア/5ドアハッチバックと4ドアセダンがラインナップされ、4速MT車には「スーパーシフト」という2速の副変速機を備えていたのが注目された。
1984年に登場した2代目ミラージュが注目されたのはそのテレビCM。エリマキトカゲを起用して鮮烈な記憶を残している。ボディタイプは初代と同じく3ドア/5ドアHBと4ドアセダンに加え、ステーションワゴンとバンも追加されていた。
続く3代目モデルは1987年10月に3ドアハッチバックが登場。その後に4ドアセダンも登場し、兄貴分の6代目ギャランにも似た逆スラントノーズのフロントマスクを持ち、145psの直4、1.6LDOHCターボを積んだ「サイボーグ」がスポーツグレードとして脚光を浴びた。
1989年9月のマイチェンではサイボーグは160psにパワーアップし、2代目インテグラや4代目シビックのVTECモデルのほか、スーパーチャージャーを搭載したAE92型カローラレビン/スプリンタートレノGT-Zに伍するテンロクスポーツモデルとして存在感を発揮した。
■バブル期に設計された4代目には世界最小V6搭載モデルも
1991年10月には4代目が登場。1992年2月には世界最小排気量のV6エンジンを搭載した「ミラージュ6」を追加設定し、同年10月には当時のテンロクスポーツ最強となる175psを誇ったMIVECエンジンを搭載した「サイボーグ」を投入。また、2ドアクーペモデルのアスティもこの4代目から設定されている。
1995年10月には5代目モデルにフルモデルチェンジ。4ドアセダンはそれまで兄弟車と位置付けられていたランサーとの差別化がなくなり、205psの1.8Lターボを積んだVR-Xが5代目ランサーGSRの兄弟車として設定されたほか、3ドアHBには先代モデルと同様に1.6LのMIVECエンジンを搭載したホットハッチのサイボーグが継続設定された。
1999年1月にはミラージュの名を冠した「ミラージュディンゴ」が登場。ただし、こちらはミラージュの名前こそつくものの、まったく別の新規開発プラットフォームを採用したコンパクトトールワゴンとして登場した。このディンゴは5代目ミラージュが2000年5月に生産終了後も2002年9月まで生産された。
いったん、三菱の歴史からミラージュの車名が消えてから10年後に現在の6代目ミラージュが登場したワケだが、貴重なコンパクトカーとしての役割をまっとうしてくれたミラージュの生産終了は少々寂しい気もする。が、ここは最敬礼で見送りたい!
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