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<p>命つなぐ「使い捨てカイロ」をウクライナへ 極寒との闘いを支える</p><p>命つなぐ「使い捨てカイロ」をウクライナへ 極寒との闘いを支える 日本で広く普及する「使い捨てカイロ」に着目。11月から少しずつ現地に送り始め、その数はすでに約3万枚にのぼる。</p><p>ロシアによるウクライナ侵攻は24日に10カ月を迎えた。インフラ攻撃で停電などの被害を受けている現地は厳冬期。暖房器具などが使えず、寒さとの闘いを余儀なくされて…</p><p>ロシアによるウクライナ侵攻は24日に10カ月を迎えた。インフラ攻撃で停電などの被害を受けている現地は厳冬期。暖房器具などが使えず、寒さとの闘いを余儀なくされている。こうした中、日本ウクライナ文化交流協会(大阪府八尾市)は、日本で広く普及する「使い捨てカイロ」に着目。11月から少しずつ現地に送り始め、その数はすでに約3万枚にのぼる。現地に直接送付する手段もあり、協会はさらなる支援を呼びかけている。(藤木祥平) 冬季は気温が氷点下を大きく下回ることもあるウクライナ。寒さは今後はますます厳しくなる見込みだが、過酷な冬を乗り切るためには暖が不可欠だ。使い捨てカイロの発送は、キエフ在住で同協会アドバイザーのアンドリー・ブチネフさん(48)が発案した。ブチネフさんは日本に留学経験があり、カイロの存在を知っていたことが理由だ。 業界団体の日本カイロ工業会(東京)のホームページによると、使い捨てカイロは、鉄が空気中の酸素と反応して酸化鉄になる化学反応を利用し発熱する仕組み。朝鮮戦争で米兵が使用していた鉄の粉と食塩を入れて発熱させる保温具を日本人が改良し、現在の使い捨てカイロを作り出したとされる。「使い捨てカイロは欧米では普及しておらず、外国人に重宝されることがある」(担当者)という。 日本ウクライナ文化交流協会の小野元裕会長(52)によると、当初は協会が大量のカイロを集めてウクライナに送る計画もあった。しかし「それでは時間もかかるし、税関で止められるリスクもある」と懸念。冬の本格化を前に小野会長は「時間との勝負になる。手っ取り早く一人でも多くの人を助けたい」と考え、協会による直接送付だけでなく、賛同者に現地の協力者の住所を教え、国際スピード郵便(EMS)を利用して直接送ってもらう手段も紹介するようにした。 取り組みを始めた11月以降、賛同者から多くの連絡が寄せられ、これまでに計約3万枚のカイロがウクライナへ送られた。 取り組みに賛同し、プロジェクトの担当部長を務める清水隆裕さん(44)も、当初はウクライナをどう支援していいか分からなかった一人。「寒さで民間人の命が危機にさらされていることは私たちでも容易に想像できた」と支援に乗り出した経緯を明かす。現地の住民からは喜びや感謝の声が届いている。清水さんは「手応えを感じている。もっと支援の輪が広がってくれたら」と力を込めた。 支援を希望する場合は、日本ウクライナ文化交流協会に確認の上、各自で使い捨てカイロをケース単位で購入。その後、郵便局でEMSを利用してウクライナに発送する。送料の目安は段ボール1箱(カイロ240枚入り)につき約3万円。問い合わせは同協会(072・926・5134)。</p>