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イイね ガッカリそれとも呆れ? プロが選出 2022年登場の絶賛カー&残念カー

 2022年もたくさんの日本車がデビューした。部品供給も不安定な中で多くの新型車を投入してくれた各社の努力に敬意を表したい。

 しかしクルマの評価はまた別のハナシ。ベストカーでもおなじみの自動車評論家陣4名に、2022年にデビューした日本車の「絶賛カー」と「残念カー」を選んでいただいた。

※本稿は2022年11月のものです
文/国沢光宏、清水草一、渡辺陽一郎、岡本幸一郎、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2022年12月26日号

■国沢光宏選出・2022年絶賛カー&残念カー

国沢氏が購入した日産 フェアレディZは、2021年に世界公開されていたが、2022年1月14日に日本でも発表

 意外なことに2022年は久しぶりに新車の当たり年となった。困ったことにいいクルマはすべて納期1年以上ですけど(笑)。

 例えばサクラ(日産)は「時代を変えるかな?」というインパクトを持つ。今まで電気自動車といえば身近な存在じゃなかったものの、全国的な規模で売れている。

 おそらく買った人の口コミでさらに広まっていく。後世、電気自動車の普及が始まった車種として語られるだろう。

 フェアレディZ(日産)シビックタイプR(ホンダ)といった「最後の純エンジン搭載スポーツモデル」の登場も興味深い。カーボンニュートラルの時代を前に、クルマ好きたちは「古きよき自動車」を探している。

 そんなニーズにガッツリ応えてくれたのがこの2車種だったりして。私も例外ではなく、フェアレディZをオーダーしちゃいました。いつになったら納車されることか?

 クラウン(トヨタ)も印象に残る。私はデザインがカンペキに好みのツボ。

 新型プリウスといい、シエンタといい、最近のトヨタ車のデザイン、とってもレベルが上がったと思う。生産さえ順調ならトヨタのひとり勝ちかと。

 残念はエスクードHV(スズキ)。SUV人気のなか、新しいシステムのハイブリッドを搭載してきたのにまったく話題に上らない。スズキの地盤沈下を象徴してる?

スズキ エスクードHV。せっかくの新システムのハイブリッドがまったく話題に登らない。残念!

■清水草一の2022年絶賛カー&残念カー

 今年はいいクルマがたくさん出たなぁ。絶賛したい国産車は5台じゃ足りなくて、しかたなく2台削ったくらい。逆に残念なクルマは1台もない。

 本当はゼロなんだけど、あえて選べばbZ4X/ソルテラ(トヨタ/スバル)だ。発表直後にリコールで出荷停止。トヨタとスバルにとって初めての本格的なEVなので、いきなりつまずいたのは、両社にとって残念だっただろう。

トヨタ bZ4X/スバル ソルテラ。発表直後にリコールで出荷停止。出鼻を挫かれた(写真はスバル ソルテラ)
ホンダ シビックe:HEVは6月30日に発売。ハイブリッドで燃費性能だけでなく、走りのよさも追求

 一方絶賛したいクルマは、まずシビックe:HEV(ホンダ)だ。このデザインであの走り、そしてあの燃費。すべてのバランスがスバラシイ! 本気で欲しいと思いました。俺はタイプRより断然e:HEV! タイプRは間もなく終わるけど、e:HEVはまだまだ先がある!

 フェアレディZ(日産)は、カッコとエンジンに痺れた! 乗れば即、マンガの主人公気分。あんな浸れるスポーツカーはない。未来はないけど、最後にいいZを出してくれました。

 サクラ(日産)は日本の風土にピッタリのEVだ。デザインであえてサクラだけにしました。

 クラウン(トヨタ)の大変身には本当に驚いた。どれもカッコいいじゃないか! トヨタの懐の深さはハンパじゃない。そしてシエンタ(トヨタ)。地味だけど、猛烈に平和で癒されて、もうこれ以上は何もいらない気持ちになれる。足るを知るクルマです!

■渡辺陽一郎の2022年絶賛カー&残念カー

2022年1月13日に発売されたノア/ヴォクシー。また今年はステップワゴンなどミニバンが続々一新

 2022年は「ミニバンの年」で、新型車が多かった。今でも国内販売を支える存在だから失敗できず、緊張感の伴う開発を行った。

 ノア&ヴォクシー(トヨタ)は、周囲に車両が接近すると開き始めた電動スライドドアを止める機能など、先進の安全装備と運転支援機能を割安な価格で用意する。ハイブリッドの燃費も向上して、先代型から新型に乗り換えると燃料代を17%節約できる。

 ステップワゴン(ホンダ)はミニバンの機能を洗練させた。乗り心地や3列目の座り心地が向上し、開放感も増してクルマ酔いを生じにくい。

 ノア/ヴォクシーとステップワゴンは全車が3ナンバー車になったが、シエンタ(ホンダ)は5ナンバーサイズを守る。視界、安全装備、燃費なども向上して優れた商品になった。

渡辺陽一郎氏が残念カーに選んだのはトヨタ クラウン。「セダンの王道を行くクルマとして、もう少し頑張るべきだった。SUV化するのはその後でも遅くない」

 サクラ(日産)eKクロスEV(三菱)は電気自動車の本質を突いた商品。

 軽自動車は街中で使いやすく、セカンドカーの需要も多い。遠出にはファーストカーを使うから、長い距離を走る必要はなく、1回の充電で走行できる距離が短いという批判も生じない。電気自動車には軽サイズがベストだ。

 残念なのはクラウン(トヨタ)。路線を変えたのは先代型だから、セダンの王道を行くクルマとして、もう少し頑張るべきだった。SUV化するのはその後でも遅くない。

■岡本幸一郎の2022年絶賛カー&残念カー

岡本幸一郎氏が残念カーに選んだのはトヨタ GRカローラ。「どうせなら“世界標準”の2Lターボでトヨタの底力を見せてほしかった……でも、いつか乗ったら考えがまるっきり変わりそうな気もするけど(笑)」

 クルマ自体は魅力的だけど名乗ることに納得がいかないクラウン(トヨタ)とか、やりたいことはわかるけど煮詰めが足りないCX-60(マツダ)とか、よさそげだけど乗れてないフェアレディZ(日産)やIS500(レクサス)は、僕は今回、あえてどちらにも入れないことにします。

「残念」は、登場直後にリコールになってつまずいたEVとか、せっかく注目されてるのに受注停止や発売延期になった車種など、そのクルマの本質でない部分の話は抜きにして、あくまでクルマ自体がどうか? で選ぶと、僕はGRカローラ(トヨタ)ですね。

 まず、エンジンがGRヤリス(トヨタ)と基本的に同じ1.6Lターボなのがちょっとガッカリ。どうせならAMGを筆頭に欧州の高性能車がしのぎを削っている“世界標準”の2Lターボでトヨタの底力を見せてほしかった。

 それにGRカローラが出ることで、このカテゴリーで最強のはずだったGRヤリスをかすませてしまうと思って。でも、いつか乗ったら考えがまるっきり変わりそうな気もするけど……(笑)。

スポーツモデルで注目を集めた一台、ホンダ シビックタイプRは9月1日発表

「絶賛」は、走りのよさに大いに感銘を受けたシビックタイプR(ホンダ)と、すっかりイケメンになって完成度の高さにも感心したエクストレイル(日産)シエンタ(トヨタ)クロストレック(スバル)。そして、軽自動車でEVは大いにアリということを知らしめたサクラ(日産)ですね。


【番外コラム】2022年RJCカー・オブ・ザ・イヤーは?

三菱 eKクロスEV

 今年の最も優れたクルマを選ぶ「カーオブザイヤー」。日本自動車研究者ジャーナリスト会議が主催するRJCカーオブザイヤーでは軽EVの日産 サクラ三菱 eKクロスEVが受賞。EVの普及促進に弾みをつけるクルマとして評価された。

【画像ギャラリー】2022年にデビューした日本車から選んだ プロ4人「絶賛のクルマ」(20枚)画像ギャラリー

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