WEC世界耐久選手権のCEOを務めるフレデリック・ルキアンによると、このスポーツカーシリーズはテレビ中継により適した「創造的な」新しいフォーマット案を選手権関係者に提案したという。
来季2023年に11年目のシーズンを迎えるWECは、長年にわたってそのフォーマットをほとんど変化させず予選形式をわずかに進化させただけで、ほぼ従来のレースフォーマットを踏襲してきた。
ルキアンは最近行われたカタールでのイベント開催中に記者団に対し、新しい取り組みによってシリーズにスパイスを加える可能性についてメーカーと「興味深い議論」を交わしたと語ったが、そのうちのひとつは予選レースだったという。
予選レースの構想は過去にもあった。2017年に当時のCEOジェラール・ヌーヴが初めて提案したこのコンセプトは、LMGTEプロとLMGTEアマのみを対象とするものとして考えられていたが、ル・マン24時間レースを最終戦とするWECの“ウインターカレンダー”へのシフトの中で結局実現しなかった。
WECは来年、ハイパーカーとLMP2、LMGTEアマの全3つのクラスで別々のセッションを実施する、従来から若干変更された予選フォーマットを導入する予定だが、これは“画期的なこと”とはみなされていない。
「我々は自動車メーカーと非常に興味深い議論をしている。何か違うことを想像しようとしているんだ」とルキアンは語った。
「土曜日に予選レースをやったらどうだろうか?」
「耐久レースは素晴らしいもだが、6時間、8時間、24時間というのは、テレビ的には非常に難しいということを認めざるを得ない。だから、クリエイティブでなければならないんだ」
ルキアンは、F1のような土曜日のスプリントレース導入の可能性についてはメーカーからの反発を理由に基本的にその可能性を排除したが、チャンピオンシップをより盛り上げるための新しいアイデアには前向きであることを強調した。
「もちろん、自動車メーカーに土曜日にスプリントレースを行うことを提案したら、彼らはすぐに反応して『ありえない、レース前日にクルマを壊すなんて』と言ってくることは完璧に理解できる」と同氏。
「今にわかる。現時点ではそれは計画にない。ただ、少し話し合っているだけだ」
WECは以前、2019-20年シーズンに4時間レースというアイデアを導入したことがある。これについてルキアンは、耐久レースの「DNAを変える」アイデアではないと延べている。
「私たちが考えているのは、我々のショーをどんどんテレビ向けに適応させていこう、というものだ」
「耐久レースのDNAを変えようとは思っていない。しかし、一般の視聴者がこのスポーツをより身近に感じられるような、スマートなアイデアを考えなければならない」
「今、私たちはすべてを持っている。クルマも、ブランドも。例えば、スパは素晴らしかった。多くの人が集まってくれた。また、2022年のル・マンでは(観戦チケットが)2日で完売した」
「何かが起こっている。だが、とくにテレビ放送の(視聴者数を増やす)ために働き続ける必要があるんだ」。
ルキアンは、2023年に向けてすでに発表されている以上のフォーマット変更はないこと強調し、現在考えられているアイデアは、早くても2024年まで導入されることはないことを示した。