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閏[うるう]七月。静[しずか]御前が産気づいた。夜明けを待たずに陣痛が始まったが、頼朝[よりとも]の目が覚めるのを待って、朝日[あさひ]御前が知らせてきた。 「左様か」 うなずきながら、頼朝の中で複雑な気持ちが絡み合う。 龍[たつ]姫が生気を取り戻したのは、静御前のおかげだ。どれほ…