BLIZZAK史上最高のアイス性能が評判のスタッドレスタイヤ「ブリザックVRX3」に、SUV用12サイズが追加された。人気のRAV4やエクストレイル、クラウンクロスオーバーにもしっかりマッチするから見逃せない。今回はスタッドレスタイヤ試乗の聖地ともいえる北海道・旭川を起点に大雪山系旭岳周辺を藤島知子がアウディQ5に乗り、ブリザックVRX3をたっぷりと試乗した。
インプレッション/藤島知子 写真/成田颯一
■エクストレイルやクラウンクロスオーバーなど人気のSUV用に12サイズが追加されたブリザックVRX3
初代ブリザックが登場したのは1988年。以来、ブリヂストンは冬道の安心・安全を追求し続け、2021年秋に「ブリザック VRX3」をリリースした。
VRX3はスタッドレスタイヤに求められる雪上性能に加えて、ドライやウエット路面に対するグリップ性能は従来のVRX2のレベルを維持。そこにブリザック史上最強の氷上性能を実現し、“効き”を長持ちさせるという背反性能を両立させたことが最大のトピックだ。
北海道や東北地方など、降雪地帯ユーザーの装着率が高いブリザックVRX3だが、このたび、SUV用に12サイズを新たに設定したという。そこで今回は厳しい降雪地帯で知られる北海道の旭川の地でアウディQ5のクワトロモデルにVRX3を装着し、その感触を確かめることができた。
0℃付近を行き来する日本の気候は、スタッドレスタイヤにとって世界一過酷な環境といえる。圧雪路、シャーベット状の雪、一度溶けた雪が凍結した路面に出くわすこともしばしばだ。実際に走るとなれば、唯一、路面に接するタイヤが刻々と変化する状況にいかに対応するかがドライブの安心・安全を左右する。
中でも、最もリスクを感じるのはコントロールを失いがちな凍結路面。そもそも、氷の上で滑る理由は氷上に浮き出す水の存在だ。気温上昇やクルマの重たさで浮き出した水は、タイヤの接地を妨げてスリップを起こす。タイヤメーカーはいかにして水を攻略し、タイヤを接地させるかに切磋琢磨してきた経緯があるが、ブリザックはタイヤの中に気泡を作り、除水効果をもたらす“発泡ゴム”と路面に接するトレッドパターンの進化とともに冬道における信頼性を高めてきた。
VRX3の場合、トレッドパターンは路面の水を溝に導くコンセプトで設計されたほか、ブロックサイズを均等化したことで接地性を向上。フレキシブル発泡ゴムは楕円形の水路を設け、水を吸い上げる毛細管効果を高めたことで、凍った路面の接地性はVRX2よりも20%高める(※)ことに成功した。
(※詳しくはBLIZZAK公式Webサイトへ)
■凍結した急こう配の下りカーブも安心してステアリングを切っていける
試乗スタート地点の旭岳は標高が高い山間の地。天候はくもりで気温はマイナス7℃。降り積もった雪は解ける気配をみせない白銀の世界だ。
私は雪道の感触を確かめながら圧雪路を慎重に走りだす。すると、VRX3はアクセルペダルに力を込めた分だけ車体を前に進めていける感触を与えてくれた。水気が少ない圧雪路では、ステアリングを切り込めば、切ったなりに素直に曲がる印象。
1年ぶりに雪上を走ったにも関わらず、それほど緊張感を感じていない自分に驚かされた。滑り際の振る舞いを確かめるべく、ブレーキを少し強めにかけてみると、ギュギュっと雪を掴みながら、安定した姿勢を保って停まろうとする。一歩先の挙動を予見させる走りは、グリップ感を把握しやすい点で安心感がもてた。
忠別湖に降りる県道は急勾配の下り坂でカーブが連続する。外気温はこの時点でマイナス5.5℃からマイナス2.5℃に上昇。乾いた新雪が積もっているが、山の陰では雪の下に凍った路面が顔をだす。VRX3はペダルを踏む力加減に応じて、丁寧に路面を捉えながら進んでいける感触を与えてくれていた。
対向側から路線バスが走ってきたが、安定した状態で走っていられるから、雪壁にそっと車体を寄せながら、すれ違いを難なくこなすことができる。ワインディング路は意のままに、スムーズに駆け抜け、アウディQ5の走りにふさわしい気持ちの良いハンドリングを楽しませてくれた。さらに気温が上がり、雪が溶け始めた場所でブレーキを掛けると、流石にABSが作動したが、そうした状況でも想定したラインから大きくブレて外側に膨らむようなことはなく、予測の範囲で走ることができた。
■氷上性能だけでなく乗り心地やライフ性能などトータルバランスのよさは、雪国のお客さん以外にもおススメだ
旭川の市街地では、外気温はマイナス3℃から0℃に上昇。滑りやすい凍結路やアスファルトが露出した路面に出くわした。停止と発進を繰り返す交差点付近はブレーキを強く踏んだり、一気に加速しようとするとABSやトラクションコントロールの制御が作動しやすい場面といえる。
あらかじめ滑ることを予測しながら緩やかに減速をし始めたり、緩やかに加速していく過程で適度なグリップ感を得やすく、クルマを走らせやすいと感じた。
街中は多くのクルマが行き交う複雑な交通環境だが、ブレーキの際も想定よりも行き過ぎて、ペダルやハンドルの操作で慌ててフォローする必要がないため、ゆったり構えてドライブできる。
さらに、快適性を実感したのは、走行時のロードノイズの少なさと路面に対するタッチの優しさ。発泡ゴムは路面の凹凸を包みこむようにしなやかにタイヤを接地させるのと同時に、空気バネの役割を発揮するので乗り心地も優しい。車体側に身体を揺さぶる嫌な突き上げ感を伝えてこないので、家族や友人との毎日の移動も快適に過ごすことができそうだ。
いまやSUVは日常からレジャーまで幅広く活躍する多用途性で人気を呼んでいるジャンルだ。日常では家族の移動の足として、雪山にレジャーに出掛けるギア的存在としても活躍してくれる。
今回の試走を通じて、SUVで大切な家族や友人を乗せて移動することを想定したとき、ブリザック VRX3は冬道を走る多彩なシーンで移動の安心・安全・快適を支えてくれるタイヤであることを実感することができた。
【画像ギャラリー】SUVの曲がる、止まるに大革新! 氷上性能ならブリザックVRX3(11枚)画像ギャラリー投稿 SUVの曲がる、止まるに大革新! 氷上性能ならブリザックVRX3 は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。