もっと詳しく

フランス政府の年金改革案に反対する全国規模のデモが19日行われ、同国内務省の発表では全土で112万人が参加した。「革命の本場」とあってデモの光景は珍しくないフランスだが、日本でも注目された2018年の「黄色いベスト」運動のピーク時の参加者が28万人だったことを考えると、今回の年金デモの規模の大きさが窺える。

Andrii Zorii /iStock

年金改革の理由は、年金の財政赤字が膨らんでいるためだ。日本と同じく社会の寿命が伸びて高齢者が増加。1950年代には現役世代4人で高齢者1人を支えていた「騎馬戦」の構造は現在、現役1.7人で高齢者1人を支える「肩車」に近い状態だ。

このまま行くと27年に124億ユーロ(1兆7474億円)、30年には135億ユーロ(1兆8319億円)になる見通しだが、今回の改革により、受給開始を現行の62歳から64歳に引き上げられれば、30年時点での赤字は解消される計算という。それでも労働組合などが反発。デモ参加者はNHKの現地取材に対し、「改革は必要ですが、今回のものは良くないです。2年間も余分に働かなければならない」(49歳の地下鉄勤務の男性)などと不満をぶつけているようだ。

デモのニュースは、数年後にも国民負担率(税金+社会保障費)が50%を超える日本では今ひとつ話題になっていないが、いまネットで話題のColabo弁護団の1人がツイッターでデモに言及した際、ネット民に「論破」されているのが興味を引いた。

この記事は会員限定です。ぜひご登録いただき、続きをお読みください。サブスクなら読み放題です。