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 2022年度もそろそろ終わりを迎える。例年であれば決算セールなどが企画され、クルマをお得に買える時期でもあるのが年度末だが、昨今は新車の納期が長期化し、決算セールどころでは無くなってしまった感がある。

 それでも、販売店が年度末に向けて盛り上がるのを期待している人は多いはずだ。果たして決算お得情報などは存在するのか? また年度末までに間に合うクルマはあるのか? ディーラーの最新情報をお伝えしよう!

文/佐々木 亘、写真/ベストカー編集部、Adobe Stock

■あえて決算セールは待たなくていい!新車を買うなら今すぐ注文を

納期は短い!! でもエンジンは平気!? 試乗車落ち中古車の実際
初売りセールの次は決算セールという流れだが、お買い得なクルマはあるのか?(tong2530@AdobeStock)

 3月末が決算期となり、当期のうちに売り上げを少しでも伸ばしたいと、各業種で販売促進活動が活発になるこれからの時期。自動車ディーラーでも、当たり前のように決算セールが行われ、この時期は狙い目となるクルマ購入時期の一つであった。

 しかし、ここ数年で自動車ディーラーを取り巻く環境は大きく変化している。新車の納期は半年から1年かかるのが当たり前となり、中古車展示場の在庫台数も少ない。ディーラーでは、クルマがたくさんあるから売りたいというよりも、クルマが早く欲しくてたまらないユーザーを、いかにコントロールするかが大変な時代となっている。

 経理的な話になるが、自動車ディーラーの利益確定は注文時ではない。クルマの登録時(車検をとったところ)が利益ポイントとなるのだ。

今からセールを行ったところで、2022年度(2022年4月~2023年3月末)の期間内に新車を登録するのは至難の業。当期の利益確定とならないなら、ディーラー側も売りは急がないというのが本音のところとなる。

 そのため、よほど納期が短い、珍しく人気のないクルマ以外は、決算セールに期待を寄せて新車購入することを諦めた方が良い。

 納期長期化の著しい2022年度に関しては、決算セールを待たずして、1日でも早く新車が手元に入るよう、早急に注文を行う方がユーザーメリットになるはずだ。

■3月末に何とか間に合いそうな車種はこれだ

カローラセダン/ツーリングのガソリンモデルならば年度内納車の可能性がある
カローラセダン/ツーリングのガソリンモデルならば年度内納車の可能性がある

 それでも何とか決算セールのお零れに預かれそうな、新車納期の短いクルマを探してみた。(※参考納期は2023年1月2週目の情報で、筆者取材によるもの)

 まずはトヨタだが、2023年3月末までギリギリ登録が間に合いそうなクルマは、パッソとカローラ(セダン・ツーリング)のガソリンモデルしかない。これ以外のクルマは軒並み2023年度以降の生産となる。パッソとカローラでも、年度内生産は約束されたものではなく、2023年4月にずれ込む可能性もあるということだ。

 日産では、ノートの納期が半年前後に伸び、ルークスでもオーダーストップという話がある。オーダー停止のクルマが非常に多く、今年度中の登録ができるクルマは、見当たらなかった。お店によっては枠が残っているという可能性もあるが、年度内の納車はかなり厳しい状況だ。

 ホンダも日産と状況は近しい。シビック、ステップワゴン、ヴェゼルなどは半年から1年待ちが通常運転であり、可能性があるのはN-BOXあたりに限られる。それでも完全新規オーダーでは半年ほど待たされる状況であり、年度内登録・納車の可能性があるのは、N-BOXの一部グレードに残された在庫枠のみだ。

 スバルも人気車両は半年前後の納期がかかる。だが、他メーカーに比べると、比較的納期が短いのが特徴だ。ルーミー/トールの兄弟車であるジャスティは、もしかすると年度内に間に合う可能性もありそう。年度内登録を目指すなら、スバルではOEMモデルを狙っていくのが良さそうだ。

スバルのジャスティはディーラー在庫が期待できそうだ
スバルのジャスティはディーラー在庫が期待できそうだ

 軽自動車の多いダイハツでも、納期状況は芳しくない。新規オーダーで年度内生産に入る可能性があるのは、ハイゼットトラック等の商用モデルに限られる。タント、ムーヴ、トールあたりに配車枠が残るお店もあるようだが状況は厳しい。

 スズキでは、スイフトが年度内登録の可能性を残す。ただし、仕様によってということで、注文内容次第では、余裕で年度越えというケースもあるとのこと。

 新車納期の優等生だったマツダも、ここ数か月で遅れが目立っている。それでもMX-30、CX-60、MAZDA3の一部仕様では、まだ年度内に間に合う可能性がありそうだ。

 最後に三菱だが、納期が短いのはエクリプスクロスの一部仕様。軽自動車にも若干余力がありそうだが、必ず年度内登録という約束までには至らないのが現状だった。

 各社に共通した反応は「年度内はほぼ無理」というもの。探せば見つかる可能性はあるが、即納のクルマを探して見つかるのは、宝くじに当たるのと同じくらい希少なものになるだろう。

■年度末商戦は終了?今、やるべきことは何か

年度末は中古車がねらい目になりそうだ(jetcityimage@AdobeStock)
年度末は中古車がねらい目になりそうだ(jetcityimage@AdobeStock)

 実質的にはあまり意味のない決算セールだが、慣習上でセール(のようなもの)を行う予定を組むお店は多い。ただ、大幅値引きやサービス付きといった内容は、あまり期待できないだろう。

 2022年度決算セールが始まり出すのは、2023年2月初旬から。1月いっぱいを初売りセールと称し、2月~3月も決算セールでイベントを繋げるお店も確認できた。それぞれ内容には大きな違いは無いようで、新車を買うなら決算セールを待つ必要はない。

 一方で、中古車に関しては在庫を売り切るための動きが出てきそうだ。

 長期在庫車の大幅値引きや、試乗車の販売などを行い、中古車販売に注力するというお店は多い。中古車も供給不足でタマ数が少なく、お気に入りの一台を探し出すのは難しいが、ネットに載っていないお店独自の目玉車が飛び出すのが決算時期の特徴。中古車狙いのユーザーは、年度末へ向けての情報収集をスタートしてほしい。

 クルマは生鮮品ではないので、腐ることは無いが、在庫となっているものは早めに回転させたいのがディーラーの気持ちであろう。今狙うべきは中古車であるのは間違いないが、新車でも、在庫がダブついていそうなオプションや用品を狙って、サービスなどをお願いするのは一つの手となる。

 ただし、ダブつくような在庫がないというのも、新車ディーラーの現状であることは理解しておきたい。2022年度の決算商戦は、少し盛り上がりに欠けそうだ。

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