1月20日、WRC世界ラリー選手権第1戦『ラリー・モンテカルロ』は競技2日目のSS3~8が行われ、初日に引き続きTOYOTA GAZOO Racing WRTのセバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1)が総合首位に立っている。日本人WRCドライバーの勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)はデイ1から順位をふたつ上げ総合7番手につけた。
伝統のラリー・モンテカルロは20日(金)、競技2日目を迎えた。3つのステージを各2回走行するスケジュールでSS3からSS8まで計6本のSSで争われたデイ2は、早朝から晴天に恵まれ路面はほぼドライコンディションが保たれたが、一部では凍結やウエット路面もみられた。
そんななか、デイ1のSS1とSS2で2連続ステージウインを飾り総合トップに立ったオジエは、この日も好調を維持しオープニングのSS3を皮切りにSS4、SS5と立て続けにステージベストを記録していく。なお、この内2本のステージではハイブリッドシステムが機能していなかった。
ステージウインこそないもののオジエと同様に、SS1から5ステージ連続で2番手タイムを記録する好調さを見せていたエルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)は、午前中最後のSS5で右リヤタイヤのパンクに見舞われる。この影響で約40秒を失い、総合2番手から5番手に順位を下げることとなった。
SS4終了時点で11.3秒後方につけていたチームメイトのアクシデントは、モンテ通算9勝目を狙うオジエの戦いを楽にした。午後の3本のSSを2番手、1番手、3番手タイムで通過した8冠王者と総合2番手に浮上したカッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)の間には36秒ものギャップが生まれている。
「今日は一筋縄ではいかない一日だったが、全体的にはポジティブだったと思う」と語ったオジエ。
「今朝は2本のステージでハイブリッドブーストが使えなかったので、それを補うためにリスクを負ってハードに攻めなければならないと思っていた。しかし、その状態でも自分が一番速かったことに驚いたよ」
「(デイ2)最後のステージは明らかにパンクのリスクが高かったので、少し落ち着いて走ることにした」
■勝田貴元がラッピを抜いて7番手に浮上
首位オジエが独走状態を築くなか、総合2番手を巡る争いは僅差となっている。エバンスのパンクによって順位を上げた新王者ロバンペラは、午後のSS6でティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)を逆転し総合2番手に浮上した。両者のタイム差は1秒以内で進んだが、最終的にはSS8でトップタイムを記録したロバンペラがわずかにリードを拡げ、その差は1.9秒となっている。
前日のデイ1を総合3番手で終えたオット・タナク(フォード・プーマ・ラリー1)は順位をひとつ落として4番手に。元僚友のヌービルからは16.3秒の後れを取った。その後方にはSS5のパンクで遅れたエバンスがつけ、14.5秒あったタイム差を8.1秒まで縮めている。
ヒョンデのダニ・ソルド(ヒョンデi20 Nラリー1)はペースが上がらず総合6番手。首位から1分30秒遅れているベテランの背後には2.9秒差で勝田が迫っている。前日にハンドブレーキのトラブルを抱えた勝田は、この日4つのステージで4番手タイムを刻む好走をみせポジションをふたつ上げてみせた。
総合8番手はトヨタからヒョンデに移籍したエサペッカ・ラッピ(ヒョンデi20 Nラリー1)、同9番手にはWRC2リーダーのニコライ・グリアジン(シュコダ・ファビアRSラリー2)がつけている。
Mスポーツのピエール-ルイ・ルーベ(フォード・プーマ・ラリー1)はSS5でパワーステアリングが効かなくなり、その影響で標識の支柱に突っ込んでしまった。日中のサービスがない中、幸いにもラリーの続行は叶ったがパワステがない状態での走行は厳しく、午後の3ステージで大きく順位を下げている。
デイ2に引き続きミッドデイサービスが設定されていない21日(土)のデイ3は、フランス南部の山岳地帯で3本のステージを各2回走行する予定が組まれている。計6本のSSの合計距離は111.78kmと4日間でもっとも長く、リエゾン(移動区間)も含めた1日の総走行距離は687.23kmとなっている。