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リーフの大幅値上げを実施した日産。特に大きな改良などはアナウンスされていないのだが、果たしてこの日産の価格戦略はどうなのか? 国沢光宏氏がバッサリと斬る!
文/国沢光宏、写真/ベストカー編集部、ベストカーWeb編集部
■ARIYA最廉価グレードとの価格差がほぼなくなる?
すでにご存じだと思うけれど、2022年12月22日に日産はリーフの大幅値上げを発表した。40kWhの電池を積むグレードで37万1800円。421万5100円だった60kWhの電池を積むリーフe+のベースグレードの『X』は102万8500円も値上げし、525万3600円になっている。
ひとクラス上の電気自動車であるテスラの『モデル3』が値下げして536万9000円になったことを考えたら割高感が強い。
もっといえば、同じ日産車であり、リーフe+より大きな電池(66kWh)を搭載し、乗り心地や質感で圧倒するARIYAはすべての点でリーフより新しく、コストもかかっている。5年後の下取りだって有利。
なのに、価格は539万円スタート。ARIYAとリーフが同じ価格なら(正確に書くと電池容量10%多い分だけ割安だと思う)、誰だって迷うことなくARIYAを選ぶんじゃなかろうか。
■まさかの充電ケーブルオプション化!
しかも大幅な値上げをしているにもかかわらず、電気自動車を買ったら必ず使う「充電ケーブル」がオプション設定になってしまった!
携帯電話を買って充電ケーブルがなかったら怒ると思う。というか、電気自動車で充電ケーブルが標準装備じゃないのは、同じ日産のSAKURAのみ(SAKURAの兄弟車となる三菱eKクロスEVは標準装備)。日産、いったいどうなってるんだろうか?
一番戸惑っているのがディーラーだったりする。いくつかのディーラーに聞いてみたところ、皆さん口を揃えて「商談中だった顧客はすべて話が進まなくなりました」。それはそうだ。クルマの内容やスペックは変わらず(充電器は標準装備じゃなくなり劣化)、102万円も値上がりしたら魅力を失う。むしろ発売以来5年経っているリーフなら、値下げしてもいいくらい。
実際、アメリカでは大幅な値下げを行っている。リーフで使われている電池、日本製だから大幅な値上げする理由などないと思う。日産、いったい何を考えているんだろうか?
■SAKURAで充電ケーブルをオプションにしたことが発端か
調べてみたら興味深いことがわかった。まず、充電ケーブルのオプション化だけれど、関係筋に聞くと「SAKURAでオプション設定にしたことと関係があります」という。実はSAKURA、標準装備のハズだったらしい。
だからこそeKクロスEVは標準装備のまま残っている。なぜオプションになったかというと、上層部の強い指示だという。この場合の「上層部」は複数じゃないようだ。強い発言力を持つひとりの指示により、収益を上げるためオプションにしたという。そして指示した当人は大成功したと思っているようだ。確かに充電器がオプションでも納期は1年以上になるほど売れている。
そして大半のユーザーが7万4800円もするオプションの充電器を買っている。実質的に7万4800円高い価格を付けたのと同じこと。リーフも同じことをすれば儲かると考えたことは想像に難くない(私は高価なオプションを選ぶなら3万円も出せば買える100Vと200Vの兼用充電器をすすめておく)。いろいろな意味で「正直なビジネス」より、お客が出すなら儲かるというコンセプトだ。
■納期が長くなったら値上げしても売れると考えた?
リーフの値上げもまったく同じ根っ子だと思えばわかりやすいんじゃなかろうか。リーフも半導体不足で納期が長くなっていた。だったら少しくらい高くしたって売れるんじゃないか、と考えたに違いない。
今まで自動車ビジネスはこういった「時価」のような値付けはしてこなかった。ライバルとの価格差や従来型の価格など考えつつも、生産コストを反映したものだったように思う。
リーフの値上げ、自動車ビジネスの慣習じゃありません。「納期の長いクルマは人気あるから多少高くても売れるだろう」となれば、フェアレディZなんか1000万円でいいし、大半のトヨタ車が現在の価格に10万円上乗せしたって売れることだろう。
■日産よ、このままでいいのか!?
でも、大半の自動車関係者は「それをやっちゃおしまいだよ!」と思っている。長い目で見たら信頼を失うこと間違いなし。
SAKURAの充電ケーブルをオプションにした役員と、リーフの大幅値上げを指示した役員は同じと聞く。となれば人気がある日産車の値上げは続くんじゃなかろうか。
すでにSAKURAを値上げし、納期が長いARIYAの価格見直しも確実かと。新型セレナはすでにノアより割高。エクストレイルの値上げだって充分ありうる。やがて正直な価格設定を続けるトヨタに大負けする日が来ると思う。
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