2022年までシリーズの冠を務めたキャンピング・ワールドから、新たにクラフツマンが復帰する2023年のNASCARクラフツマン・トラック・シリーズに向け、トラック界の新星として絶大な支持を集めるヘイリー・ディーガンの去就が確定。来季はトヨタ陣営からフォードに復帰するソースポーツ・レーシングに移籍し、タイトル獲得経験を持つ強力なドライバー陣営に加わり、4台体制の一翼を担うこととなった。
フリースタイル・モトクロスの第一人者であるブライアン・ディーガンを父に持つ21歳のヘイリーは、自身もオフロードで頭角を現したのち、本格的に4輪競技に転向。K&Nウエスト・アンド・イーストシリーズやARCAメナーズ・シリーズなどで史上初の女性ウイナーに輝いた実績を提げ、2020年からフォード・パフォーマンスの開発ドライバーとしてNASCARに昇格し、トラック・シリーズを戦ってきた。
初年度のDGR-クロスリーを皮切りに、これまで一貫してデビッド・ギリランド・レーシング(DGR)に所属してきたカリフォルニア出身の彼女だが、来季2023年にも約3年ぶりにトヨタからフォードへ復帰するソースポーツとジョイントし、2019年王者のマット・クラフトン、同2021年王者のベン・ローズ、そして2022年は2勝を挙げて最終“チャンピオンシップ4”に進出し、大ブレイクの1年を経てチーム在籍2年目を戦うタイ・マジェスティックらとともに、フォードF-150をドライブすることが決まった。
「トラックシリーズでの28年目に向け、NASCARでのフォード・パフォーマンスとのパートナーシップを楽しみにしている。勝利とチャンピオンシップの追求は、いつだって我々の目標の最前線にあるものだからね」と語るのは、ディーガン獲得に向けふたたびフォード陣営への復帰を決めたデューク・ソーソン代表。
「正直、フォードを歓迎し、それに取り組むことは主要なポイントの一種だった。現在、他の多くのチームと同様にヘイリーがどんな準備を進め、来季どこへ向かい、何をするのか。ドライバーラインアップを見直す際に、それは明らかに話題のトップだったよ」
■「最高の環境」を手にしたとヘイリー
この12月15日付けのアナウンスにより、自身3年目のフルシーズンを迎えることが決まったヘイリーは、ベテランの経験と成功に囲まれるチームリソースが「かつてないほど、最高の環境」だと意気込む。
「本当に大きいと思っている。 それは間違いなく、私のキャリアとレースの要素に追加される、大きなパズルのピースだと思うわ」と認めたヘイリー。「チームメイトの質と、彼らがここで得た経験は信じられないほどよ。そんなタイトル経験者が気さくに話をし、彼らが私を助けるためどれほどオープンで喜んでくれているかを見て、ここがどれほど快適で居心地が良いかを知るのは素晴らしいこと。これは、本当にかけがえのない要素だと思う」
2022年のトラック・シリーズでは、10月のタラデガでキャリアハイの6位入賞を達成したのを皮切りに、年間2回のトップ10を記録してランキング21位のリザルトを残した。そしてエクスフィニティ・シリーズにも初参戦し、10月のラスベガスではSS-グリーンライト・レーシングからフォード・マスタングのステアリングを握って、13位フィニッシュも果たしている。
「チームメイトのひとりが他のチームメイトよりうまく走っている場合は『ねえ、ここで何を感じているの? ねえ、何を変えたの? 何が気に入らなかったの?』なんて話を、練習走行から予選の間にかわすことが必要よ」とヘイリー。
「それら質の高い会話をした後、初めてレースを分析することができる。そして何より、そうした環境こそドライバーの成長に大きな影響を与えるものだと思っている」
そんなヘイリーのキャリアを見守ってきたフォード・パフォーマンスのグローバルディレクター、マーク・ラッシュブルックも、チームが陣営のプログラムに“復帰”したことを歓迎すると同時に「ソースポーツ・レーシングは若さと経験に満ちたドライバーラインアップを構築し、このシリーズで最高の組織のひとつになった」と自信をみせた。
「彼らとは、ほんの数年前に一緒にチャンピオンシップ獲得を祝った(フォードでは2度のタイトルを獲得)が、2023年にその瞬間がふたたび訪れ、シリーズで優勝する可能性があることを知っている。そして我々の開発ドライバーがトラック内外で進化する過程を見るのも大好きだ。2023年こそ、彼女にもうひとつ次のレベルに進む機会を与える最高のタイミングだと思っている」