80年代のターボクラシックが値上げに直面。80年代は、ターボチャージャー搭載エンジンのブームが起きた時代。この時期のターボクラシックの価格は、通常のものだけでなく、小型車やエキゾチックカーも含めて急上昇している。
ターボブーム再来?1980年代のターボチャージャーの普及は、自動車業界に大きな風穴をあけた。
そのひとつが1973年のBMWの「2002ターボ」で、まもなくポルシェの「911 3.0ターボ」が登場し、その後、一気に普及が進んだ。ディーゼルは1970年代末にようやく距離を置いて追随したが、ここではそういう話ではない。1980年代以降に市場を席巻したターボチャージャー付きガソリンエンジンの話である。
米国でサーブ900の誇大広告が進行中
1970年代の先駆者たちが高価格圏に流れて久しいが(BMW 2002ターボ: 10万ユーロ=約1,400万円、ポルシェ911ターボ3.0: 15万4000ユーロ=約2,200万円、いずれもコンディション2)、一般所得者でも1980年代のターボチャージャー付きエンスージアストカーを手に入れることは可能である。
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しかし、価格は軒並み上昇していると、市場分析会社「クラシックデータ」のブルーネ氏は報告する。ターボブランドの代表格はサーブだ。アメリカで猛威を振るっている「900」の誇大広告が、やがてヨーロッパにも波及するのか、現場は熱心に見守っている。最近、大西洋の反対側のオークションで、保存状態のよいサーブのフルターボクーペに最高5万7000ドル=約780万円という破格の値段がついたことがある。
急激な値上げを抑えたサーブ コンバーチブル
「この国では、まだまだその道のりは遠い」とブルーネ氏は言う。しかし、スウェーデンの2ドア車の価格のバロメーターは、欧州でも上を向いている。クーペは6年間で40%価格が上昇し、現在では良好なコンディションで17,800ユーロ(約254万円)の価格で販売されている。一方で、「900」のコンバーチブルの価格はそれほど上昇していない。
クーペとは対照的に、コンバーチブルは走行距離10万km台、あるいはそれ以下のものがまだ相当数残っている。安いオファーに注意: サビ問題(アクスルシャフトトンネル!)や修理の滞りが発生するリスクがある。
ターボブームはフィアット ウーノにも影響 – 残っていればの話だが・・・
日本のクラシックカーのブームや高性能な小型車の走りなど、現在の市場動向もターボの価格開発を後押ししていると、ブルーネ氏は報告する。
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目立たないターボチャージャーやエキゾチックモデルも、その流れに巻き込まれているようだ。例えば、1985年に発売されたフィアット製の「ウーノ ターボ」は、2016年から価格がほぼ倍になっている。わが国ではピンクのロールス・ロイス並みに「珍しい三菱スタリオン」も、この価格動向を経験した。ただし、現在はまだ台数が少ない。
ちなみに、エンスージアスト市場では、ターボ付きディーゼルの役割はほとんどない。プジョーなどは、1980年代にパワフルで耐久性のあるディーゼルエンジンで有名になった。しかし、その多くは第三国へ輸出されたりして需要はほとんどない。
1980年代のターボクラシックの市場分析
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サーブファンの間では、160馬力の「フルターボ」と、141馬力の「ソフトターボ」が区別されている。両者の価格差は約4,000ユーロ(約55万円)。126馬力の自然吸気モデルは、さらに1,300ユーロ(約18万円)安い。しかし、いずれのモデルも緩やかな値上がりを続けている。ターボクラシックの需要は目に見えて高くなっている。クーペタイプはコンバーチブルより高価だ。「サーブ900」のオープントップは、ブラックのスポイラーリップがトレードマークで、このリップは後部座席でも大きく膨らんでいる。ソフトトップは、ボタンに触れると10秒でリアシート裏の収納スペースに消える。
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フランスのクーペが再び盛り上がっている。一時は、「フエゴ(スペイン語で”火”の意)」がエコノミーモデルに堕ちるかと思われた。しかし、最近では、2016年の水準にはまだ達していないものの、再び価格が上昇し始めている。
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パワーのある小人が価値を倍増させる: パワフルな小型車、いわゆる「ホットハッチ」がブームになっている。そのひとつがイタリアの845kgの「GTIショッカー」で、6年間でほぼ2倍の価値になった。「フィアット ウーノ ターボ」は圧倒的に高価なウーノだが、オリジナルのコンディションが良いものはなかなかないのが現状だ。
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ここでは「7シリーズ」が「Sクラス」を抜いた。BMW初の「7シリーズ」は関心を集め、価格面でも「メルセデスSクラス」の影から脱却しつつある。トップモデルの6気筒ターボエンジン搭載の「745i」は、V8搭載の「450SE」より5,000ユーロ(約70万円)高い価格設定となっている。後期の3.4リッターは、1980年から82年にかけて製造された「3.2s」よりも最大で2,000ユーロ(約28万円)も高価である。
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日本車ブームで価格上昇: 1987年以降、「ワイドボディ」を膨らませた「三菱スタリオン クーペ」も、日本のクラシックカー人気の高まりの恩恵に浴した。この国にはまだ二桁の数しか登録されていない。価格見通し: 依然として上昇中だが、上昇のスピードは鈍化している。
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最も安い: 「プジョー405(1988-96)」は、ヤングタイマーとしての役割は実質的にない。早くからスクラップ制度で在庫を減らし、大量のターボディーゼルがアフリカや東欧に流出した。価値の向上はほとんどない。コンディション3の例では、1,300ユーロ(約18万円)から手に入れることもできる(見つけられた場合)。
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最も高価なもの: F40の先代288GTO(2.8リッターV8ビターボ、400馬力、305km/h、272台限定)は、2年間(1984~86)しか製造されていない。それでも、投資として購入する人が多かった。オリジナル価格: 265,000マルク(約1,800万円)、現在の価値: 200万ユーロ(約2億9,000万円)以上。
Text: Martin G. Puthz
Photo: autobild.de