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<p>重大事故で無罪相次ぐ強制起訴 運用見直し求める声も</p><p>重大事故で無罪相次ぐ強制起訴 運用見直し求める声も 専門家からは「制度の運用を見直す時期に来ている」との声も上がる。</p><p>福島第1原発事故で強制起訴された東京電力旧経営陣の控訴審判決で、東京高裁は1審の無罪判決を維持した。重大事故を起こし、業務上過失致死傷罪で強制起訴された組織の…</p><p>福島第1原発事故で強制起訴された東京電力旧経営陣の控訴審判決で、東京高裁は1審の無罪判決を維持した。重大事故を起こし、業務上過失致死傷罪で強制起訴された組織のトップらが有罪となった例はない。専門家からは「制度の運用を見直す時期に来ている」との声も上がる。 検察が独占していた起訴権に民意を反映させる目的で平成21年に導入された強制起訴制度は、検察が不起訴とした被疑者でも、一般国民からなる検察審査会が2度にわたり「起訴すべきだ」と議決した場合、強制的に起訴できる。これまでに東電旧経営陣を含む10件14人が強制起訴されたが、有罪となったのは2件2人にとどまる。 現行刑法では個人にしか刑事責任を問えず、企業などを罰することはできない。多くの人員や部署を抱える巨大企業・組織のトップらの具体的な予見可能性を認定しようとした場合、立証のハードルは極めて高くなる。 乗客106人が死亡した17年のJR福知山線脱線事故でも、強制起訴されたJR西日本の歴代3社長は公判でいずれも無罪が確定。13年の兵庫県明石市の歩道橋事故では、強制起訴された元明石署副署長について、公訴時効の成立を認める「免訴」が確定した。 強制起訴の制度設計に携わった元検事の高井康行弁護士は、今回の旧経営陣の強制起訴について「原発事故の事実関係を明らかにするためなら、無罪の公算が大きくても起訴してかまわない、というポピュリズムに走った。法と証拠に基づく本来の刑事司法とはかけ離れたあり方だ」と、検審の姿勢を批判。 「重大事故の真相解明のためには、個人の刑事責任を免責してすべて語らせる仕組みが必要だ」とも指摘し、「感情的な判断になっている強制起訴の運用を見直す時期に来ている」と話した。</p>