元フェラーリのF1ドライバーであるジャン・アレジは、2023年のF1世界選手権は、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)、シャルル・ルクレール(フェラーリ)、ルイス・ハミルトン(メルセデス)といったスーパースタードライバーたちよりも、舞台裏のキーパーソンたちの力にかかっているだろうと考えている。
2021年のチャンピオンシップはレッドブルとメルセデスの間でコース上の熾烈なバトルが展開され、シーズン最終戦の最終コーナーまで結果が決まらなかった。2022年は、レッドブルは序盤に信頼性のトラブルがあったためにシーズン開幕から最初の3戦でフェラーリの2度の優勝を許してしまい、ルクレールはフェルスタッペンに対し大差をつけた。しかしレッドブルはすぐに軌道に乗り、フェルスタッペンは1シーズン15勝の記録を挙げ、たやすく2度目の世界タイトルを獲得した。
アレジによると、2023年に鍵となる戦いは、主にレッドブルのチーフテクニカルオフィサーであるエイドリアン・ニューウェイと、メルセデスおよびフェラーリのテクニカルオフィサーたちとの間で、誰が序盤に優位になるか、さらにシーズンを通してそのポジションを維持できるかというものになるという。
「レッドブルは現在F1の絶対的なリーダーであり、あらゆる分野で非常に強い」と今週アレジはイタリアのメディア『Autosprint』に語った。
「現状を見るのであれば、考慮すべき真の要因はエイドリアン・ニューウェイだ。F1が新ルールを発表してエンジニアたちに自由を与えて以来、ニューウェイは違いを生み出し続けている」
「ニューウェイは決め手の要素となっている。なぜなら彼はシーズン中、たとえ小さな変更であれ、マシンを改善し続けることでは他の追随を許さないからだ」
アレジは、メルセデスも今年は2022年の失態から立ち直るだろうと考えている。2022年は、過度のポーパシングが深刻な悪影響をW13に与えていたのだ。
「メルセデスは強くなっている。特にブラジルでの(ジョージ・)ラッセルの勝利の後はそうだ」
「彼らがマシン設計で2回ミスをするとは思えない」
つまりフェラーリは今シーズンに2チームからの脅威に直面することになる。フェラーリでは12月にマッティア・ビノットが退任した後、フレデリック・バスールがチーム代表に就任している。
2022年はF1の技術ルールやレギュレーションが大幅に変更されたが、2023年の変更は少なく、主にアンダーフロアに関することだ。チームにとっては開発において改善の余地が少なくなるだろう。
「結局のところ、小さな改善になる。だから私はフェルスタッペン対ルクレールの戦いではなく、根本的にはニューウェイとフェラーリの戦いになると思う。もしまた彼が傑作を生み出せば、今年も(フェラーリや他のチームにとっては)あらゆることがまた非常に難しくなるだろう」
「一方で、今年のレッドブルのマシンの信頼性が低く不安定なものになっていたら、状況は変わり得る。いずれにせよ、物事がうまくいってもそうでなくても、ニューウェイが勝敗の根本的な要因であることを忘れてはならない」