一般社団法人「Colabo」(代表理事:仁藤夢乃)の会計処理を巡り、東京都の住民監査請求が一部認められたことに端を発し、政府の検討会や有識者会議の人選を巡ってネット上で疑念が広がり始めている。
騒動のきっかけはBS日テレで16日夜に放送された「深層NEWS」。この日は加藤厚労相をゲストに招き、新型コロナ対応や少子化対策を取り上げていたが、番組の終盤、ネットで連日話題になっているColabo問題も言及した。
住民監査請求を受けて都は再調査中だが、小栗泉キャスターが「国としても見守りだけではなくて調査する考えはないのか」と質したところ、加藤氏は「基本的には事業主体は各自治体にあり、まず今回の事例については東京都の調査の結果を見て対応していきたい」と注視する意向を示した。
続けて小栗氏は「公金が正しく使われているのか不信感が出ていると思う」と所感を述べた上で、他地域での調査はないかを尋ねたが、加藤氏は「同じ事業をやっているから他も(調査することが)妥当なのかどうか」と慎重な構えを見せた。
ここで小栗氏が「気がかり」だと指摘したのが、仁藤氏が厚労省の「困難な問題を抱える女性への支援に係る基本方針等に関する有識者会議」のメンバーに選出されている点だ。「疑念を抱かれている団体の代表者が有識者会議から外すなど客観性、きちんと見ているのだとする必要があるのでは」と追及すると、加藤氏は「その辺も含めて適切な対応をしていきたい」と回答。
加藤氏は、議員立法で会議の設置根拠となっている法律が制定された経緯に触れた上で、「民間団体と協働していくことが必要だと位置付けられているので、事業の必要性を踏まえながら適正に執行していきたい」と述べた。
「ちょっと待ってもらってもいいですか」
この日の番組はスタジオでのハプニングも視聴者に注目された。
有識者会議の話題について質疑が交わされた際、スタジオに待機している男性による「ちょっと待ってもらってもいいですか」という“謎”の掛け声が出演者のマイクに入り込み、加藤氏も小栗氏も気にするように視線を投げる一幕があった。このあと、加藤氏のコメントが尻切れ気味にコマーシャルが流れ始めたことで、ネットでは憶測が拡大。一部では「ただ放送の尺に入りきらなかっただけなのか、それとも、何か都合の悪いことでもあったのか」などと物議を醸した。
番組で言及された人選問題は、トラブルが生じた人物を起用し続けることへの疑問からだが、今回の問題を機にSNSでは、政府の有識者会議や検討会の構成員に、当事者団体が選出されていることの妥当性が議論となっている。
実際、DV被害者用のシェルターやAV出演被害防止に関する会議体の構成員には、Colabo問題を機にネット上で注目度が上がっている他の女性支援団体の代表者らが選出されており、こうした団体に不信感を募らせる人たちからは「利益相反ではないのか」といった意見も上がっている。
NHK党の浜田聡参院議員は、16日深夜ツイッターで「困難女性支援法の有識者会議の人選は国会で取り上げるに相応しい案件ですね」と述べ、近く開会する通常国会で質問する意向を示した。