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<p>メートル表記をヤード表記にこっそり修正する抵抗組織がイギリスにある</p><p>メートル表記をヤード表記にこっそり修正する抵抗組織がイギリスにある</p><p>長さの単位の世界標準は「メートル法」であり、「ヤードポンド法」はアメリカなどごくわずかな国での使用にとどまります。しかし、対外的には「メートル法」国であるイギリスは、国内ではヤードポンド法が根強く用いられており、メートルで表記された案内標識をわざわざヤード表記に書き換える、「メートル法への積極的な抵抗(ARM:Active Resistance to Metrication)」なる抵抗組織が活動しています。</p><p>ブリテン諸島では、紀元1世紀に古代ローマが属州を設置して以降は古代ローマの度量衡が用いられました。4世紀~5世紀にローマ人が撤退したあとは、侵入してきたアングロ・サクソンの度量衡が用いられるようになったとみられます。その後、アングロ・サクソンの度量衡をベースにさまざまな改正を重ねた単位が使われ、13世紀から14世紀初頭にかけて「Compositio ulnarum et perticarum」と呼ばれる法律で度量衡が再定義されました。 「Compositio ulnarum et perticarum」以後は法律で単位が定義されるようになり、何度かの更新ののち、1824年に「度量衡法」によって改めて「帝国単位(Imperial units)」が定められました。 また、18世紀にイギリスから独立したアメリカでは「帝国単位」以前のイギリスの単位を発展させた「米国慣用単位(United States customary units)」が用いられています。日本ではこの2つを、長さの基本単位がヤード、重さの基本単位がポンドであることから、まとめて「ヤードポンド法」と呼んでいます。 国によって度量衡が異なるとさまざまな不都合があることから、18世紀末にフランスで統一単位として制定されたのが「メートル法」で、1875年に度量衡の統一を目的とした「メートル条約」が締結されました。 旧来用いられてきた単位からメートル法への移行にはいくつかの方法があり、たとえば提唱国であったフランスも当初は反対意見が根強かったため、法律でメートル法以外の使用を禁止して罰金を科すことで普及を推進しています。 日本はメートル条約に1885年に加盟。1891年に度量衡法を制定し、従来の「尺貫法」をメートル原器とキログラム原器を用いて再定義。1921年の法改正で「メートル法を基準とする」ことを定め、1959年からメートル法に完全移行しました。 イギリスは1875年のメートル条約締結時には署名を拒否。その後、日本より早い1884年に条約に加盟しました。1896年に議会でメートル法が認められたものの、義務化しなかったため普及はせず、1960年代にようやくメートル化を開始。政府内や産業界、商取引においてはメートル法が用いられているものの、距離や速度、飲み物の量などではメートル法表記と帝国単位表記が併用される状態となっています。 「メートル法への積極的な抵抗(ARM)」は2001年、メートル法の不必要で望ましくない施行に対抗するために誕生したという団体で、「200万個の道路標識の変更を防ぎ、政府の10億ポンド(約1570億円)~20億ポンド(約3140億円)の浪費を食い止めた」などの活動実績があるとのこと。 実際に、どんな活動をしたのかが公式サイトで報告されています。</p>