ミキサー車は建設現場で使う生コンクリートを工場から現場まで届ける特装車。
日本でも建設現場の近くに行くと、小型〜大型トラックがベースのさまざまなミキサー車を見ることができるが、アメリカの建設現場の近くでは、ちょっと日本と違うスタイルのミキサー車を見ることができる。
それはフロントディスチャージミキサー車と呼ばれるものだが、一体このクルマ、どんなクルマなのか? 日本のミキサー車とはどう違うのか? 詳しく解説する。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/マクネイラス、テレックス
※2019年9月10日発売「フルロード」第34号より
見た目は変だが機能性はバツグン!!
フロントディスチャージミキサー車は、アメリカで普及しているミキサー車の仲間だ。
車名の「フロントディスチャージ」は「前側から排出する」という意味で、その名の通り排出口の「シュート」、投入口の「ホッパー」、「ドラム」といった架装物が通常のトラックタイプのミキサー車とは逆向きに搭載されているのが最大の特徴。
ちなみに通常のトラックタイプ(後ろ側に排出口がある)のミキサー車は「リアディスチャージミキサー車」と呼ぶこともあるようだ。
なぜ架装物を逆向きに搭載するのかというと、作業性を高めるため。シュートが運転席の真上にあるので、生コンを排出したい位置に車両を取り回すのがものすごく簡単。通常のトラックタイプだと車両から降りて行なう排出作業も、運転席から行なえるので、ドライバーの負担も少ない。
不思議なスタイリングばかり注目してしまいがちだが、実はトラックタイプのミキサー車よりも作業性が高いのだ。
写真はアメリカの大手ミキサー車メーカー、マクネイラス社がオシュコシュブランドで展開するフロントディスチャージミキサー車「Sシリーズ」で、3軸6×6駆動の総輪駆動シャシーがベース。煙突マフラーの位置からもわかるように、エンジンは後ろの箱に収められている。
ホイールベース間の車軸は軸重を分散させる(最大積載量を増やす)ためのオプションで、車両後端の車軸も最遠軸距を延長する(橋梁通行規制を緩和する)ためのオプションという。
なお、アメリカではマクネイラス社のほか、テレックス社もフロントディスチャージミキサー車の生産を行なっている。
投稿 前後逆が米国流!?日本と真逆の構造を採用した「フロントディスチャージミキサー車」 は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。