遠藤イヅルが自身のイラストともに1980年代以降の趣味車、いわゆる”ヤングタイマー”なクルマを振り返るのがこのコーナー。今回は超コアなフランス車!? 『タルボ・マトラ・ムレーナ』ですヨ!
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フレンチスポーツカーの中でも王道のアルピーヌとはまた違った”球種”を持つ、日本ではたいへん希少なモデルです!
2018年に開催された『カー・マガジン・ウィークエンド・ミーティング2018秋in大磯』にご参加のクルマの中から、ボクがこの連載にぴったりの1台を選んでイラストに起こすというこの企画。これまた今回も楽しい&実に悩ましい選択となりました。その選んだクルマとは『タルボ・マトラ・ムレーナ』です。日本ではたいへん希少なモデルで、フレンチスポーツカーの中でも王道のアルピーヌとはまた違った”球種”なのが理由でした。
『タルボ』とはかつてフランスにあったメジャーネーム『シムカ』(と英国のルーツ・グループ)が、1960年代に米クライスラーから買収されて『クライスラー・ヨーロッパ』になったものの、本国アメリカでの経営不振によって1978年にPSA(プジョー・シトロエン)へ売却、ブランド名をタルボ(英=タルボット)に変えたものです。しかし同じセグメントのクルマを傘下に持つことになったPSAは結局タルボを持て余し、1980年台半ばでタルボ・ブランドは廃止されてしまうのです(涙)。
ムレーナはそのタルボ(旧シムカ)と密接に関係していた『マトラ』が1980年に発売したスポーツカーで、横3人掛けという変則的なシートレイアウトがシビレます。この基本はムレーナの先代にあたる『マトラ・シムカ・バゲーラ』から引き継いだもので、どちらも広いラゲッジを備え実用性が高かったのが特徴でした。ムレーナのエンジンは1.6リッター/92psと2.2リッター/118psでスポーツカーとしては役不足なような気もしますが、ムレーナはフィアットX1/9にも近いコンパクトなサイズの量産型スポーツカーで、当時アルピーヌA310 V6ですら150psだったことを思うと妥当と言えます。しかしムレーナのマックス118psではやはり心もとなかったようで、2.2リッターで142psを発生する仕様も追加されました。
そんなムレーナでしたが、生産はわずか3年ほどで終了。その理由はマトラが開発していたミニバンのアイデアをPSAが受け入れず、マトラはなんとライバル会社、ルノーの門を叩いたからでした。そう、ルノーはそれを『エスパス』として世に送り出したのです。また、マトラといえば『M530』というスポーツカーにも触れておきましょう。それまでフォードV4エンジンだったのがクライスラーの門下に入ったことで使えなくなってしまい(涙)、クライスラー/シムカのエンジンを積んだバゲーラが誕生した、というわけでした。
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