インドでデビューした5ドアジムニー。そのルックスもかっこいいのですが、やっぱり大事なのはオフロード性能。だってジムニーだもの……。ということで先代ジムニーを乗りまくっている編集部員が勝手に5ドアを分析します。
文:ベストカー編集部/写真:マルチスズキ
■構造は3ドアを生かしたタフさ
ジムニー5ドアだがザックリ言えば日本で売っているジムニーシエラと中身は同じだ。1.5LのNAエンジンに5MT/4ATが組み合わせられる。当然スズキだってコストをなるべくかけずに設計すべく、現行ジムニーの開発当初から5ドアの計画はあったとみるのが自然だ。
4WDシステムはパートタイム4WDにジムニー史上初の電制4WDとなる「ブレーキLSD」が搭載される。これも現行シエラと変わらない。
肝心なのが車体寸法。特にボディと地面との角度についてはオフロード4WDとしてはかなり重要な数値だ。いくら優れた4WD性能を持っていても、車体が地面と接地(亀の子状態)してしまえばまったく意味をなさないのだ。
ランプブレークオーバーアングル(乗り越えた障害物がアンダーボディに接触せずに越えられる角度)が3ドアの28°から24°になっている。アプローチアングル(前方の障害物を乗り越えられるる角度)は40°から36°に減少している。
なお最低地上高の210mm、50°のデパーチャーアングル(リアバンパーやマフラーなどが障害物に接触せずに越えられる角度)は3ドアと同一だ。
■急坂の登頂後が大変かも?
今回の5ドアをオフロード走行するうえでキモとなるのが、ランプブレークオーバーアングルだ。これは急坂を登り切ったあとの平地との移行時に、坂の頂点をアンダーボディに接触しないアングル。これがシエラの28°から24°に減った。オフロードコースを走り回っている編集担当としてはこれは結構困るところ。
なんせジムニーの腹下にはトランスファーが存在しており、ここに当たると走行不能に陥る可能性も高い。「派手にクロカンしてやるぜ!!」と無鉄砲にオフロードを攻めて自走不能に陥るジムニーも多い。
それでもジープラングラーの4ドアが22.6°なのでジムニー5ドアは優秀ともいえるかもしれない。そもそも節度を持った走行をして、オフロードコースなどを攻めない限り大きな支障はないので心配することはないのだが……。
またジムニーシエラから延長されたフレームだが、中央にひとつのビームが追加されている。当然ながら強度を出すためのもので、写真を比較してもすぐに「ここを延長したな」という判断はつきにくい。
スズキのことだからジムニーブランドを名乗る以上は妥協なき開発を実施してきたはずだが、物理的に車体やフレームが延長されていることをユーザーがどう受け取るかでは「なんか違うな~」と感じるケースが出てくるかもしれない。
■100kg増の5ドアをどう操るか?
もうひとつ気になるのがその車重。1080kg程度のシエラに対して5ドアは1200kgほどあり約120kgの重量差がある。成人2名分の重量差を多いととるか少ないととるかは微妙だが、走行性能には大きな差が出る。
特に1.5Lの自然吸気エンジンは大幅なパワーアップなどはなく、やや非力に感じるケースがありそうだ。ランクルやラングラーのように図太いトルクで走破するモデルではないので、ジムニーらしい勢いをつけた走りが必要だ。
解決手段としてはトラストなどが発売しているターボキットを組み込むのがオススメ。トラストのターボキットは約50万円ほどだが同社のテストでは35psアップの124psを記録している。トルクも6kgmアップの約18kgmとかなりのモリモリさ。現状では3ドア用の設定だが、5ドアが日本に導入されればぜひ適合してほしいところ!!
まとめとしては本格的にオフロードにいきたい、ソロキャンプや夫婦2人の小旅行などの用途の人には3ドアを勧める(実は荷室容量も3ドアのほうが大きいし)。しかしかつてのエスクードの代替と言うべきか、クロカン性能の高いSUVを求める層にはジムニー5ドアは唯一無二の存在だろう。
そもそも日本導入の最低条件がジムニー3ドアのバックオーダー解消後、というのが大前提なのでまだ悩む時間はたくさんありそうだ(導入されるかもわからないから妄想で終わるかも)。
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