911シリーズに代表される従来からのICEモデルでスポーティネスを突き詰めるいっぽうで、未来を見据えてBEVのタイカンをいち早くマーケットに投入、バリエーションの拡大を図ってきたポルシェ。もちろん、彼らの電動化に対する取り組みはまだ始まったばかりであり、目標の2030年に向けてさらに加速していく──。
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2030年までにプロダクトの80%をBEVに
イタリア北部のポルシェ・エクスペリエンスセンター・フランチャコルタにて、「ネクストレベルE-パフォーマンス」と題したワークショップが開催された。これはポルシェの様々な次世代EV技術を紹介するもので、その範囲は量産モデルからモータースポーツ用車両まで多岐にわたった。
ここで最初に体験したのが718ケイマンGT4 e-パフォーマンス。その名のとおりケイマンGT4のクラブスポーツをEVにコンバートしたこのモデルは、将来的にEVでワンメイクレースを開催する可能性を探ることを目的に開発されたもの。今後、2年間をかけて世界各地でプロモーションを行ない、レース主催者やドライバーなどの意見に耳を傾けることで、現行のカレラカップをEVレースに置き換えられるかどうかを検討していく計画だ。ちなみに、現状でカレラカップと同等のラップタイムで25分間走り続けることが可能という。
今回はこのプロトタイプカーへの同乗試乗が許されたが、セミウェットコンディションにもかかわらず、4WDとレーシングウェットタイヤが生み出す強烈なトラクションにより、加減速の度にヘルメットがシートに叩きつけられるような衝撃を味わった。ハンドリングは微妙にアンダーステアのように思えたが、これはセッティング次第で解消可能とのこと。いずれにせよ、モーターによる加速性能だけでなく、低重心設計によるコーナーリング性能の高さも実現した718ケイマンGT4 e-パフォーマンスが、ポルシェの将来的なワンメイクレースを担う上で十分なパフォーマンスを備えていることは明らかだった。
続いて体験したのは次世代EV専用プラットフォーム「PPE(プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック)」に関するワークショップだ。これはDセグメントからFセグメントまでに対応できるもので、次期型マカンに採用されることが決まっている。
PPEは最大2基のモーターが搭載可能で、その場合は最高出力450kW(約612ps)、最大トルク1000Nm以上を生み出す。バッテリー容量は最大100kWhほどで、800Vテクノロジーの採用により車両の軽量化、充電の高速化などを実現している。
サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン式でリアがマルチリンク式。そのほか、シャシー面で興味深いのは前後でタイヤサイズが異なる”ミックスサイズタイヤ”を引き続き採用する点だが、前後サイズの差は現行モデルよりも大きくなっている模様。これはEV化により前後の重量配分が48:52とよりイーブンに近づいた影響のようだ。さらには最大舵角5度の4WSも装備。これらについてシャシー面の開発マネジャーであるドミニクハートマンは次のように語った。
「ステアリングフィールはいかにもポルシェらしく透明感があってクリアな上、情報量も豊富です。そしてミックスサイズのタイヤと4WSのおかげで、ターンインはシャープなのに、コーナーの脱出では力強いトラクション性能を実感できるでしょう」
次期型マカンは2年後の2024年にデビューする見通しだが、当面は現行のエンジンモデルと併売される模様だ。
最後に体験したのは2023年モデルのタイカンだ。外観などに特に変更はないものの、ソフトウェアの改良によりフロントモーターを前車軸から切り離す機能(航続距離の延長に効果がある)が追加されたり、ドアやテールゲートのキーレスアクセスが可能になった。ちなみに、これらの新機能は納車済みの車両に対しても無償で提供されるという。
しかも、新しいタイカンはサスペンションがしなやかにストロークするようになって快適性が大幅に改善されているほか、フロントタイヤの接地感がステアリングを通じてより明確に伝わるようになった点も見逃せない。
ポルシェは今後もEVを続々と投入。2030年までには全生産台数の80%以上をEVとすることを目標として掲げている。
投稿 ポルシェが見据えるE-モビリティのロードマップ。2030年までに全生産台数の80%以上をBEVにすることを目標に掲げるポルシェのこれから―― は CARSMEET WEB に最初に表示されました。