海外では2022年12月13日に、日本では16日に発売が開始されるRadeon RX 7900 XTXとRX 7900 XTですが、搭載されているNavi 31 GPUにはハードウェア起因のバグが存在し、それが原因でパフォーマンスがあまり高くな可能性が指摘されています。
Radeon RX 7900シリーズ搭載のNavi 31 GPUでは一部機能が無効化。
AMDでは2022年12月13日に北米、欧州など海外で発売し、日本では12月16日に発売が開始されるRadeon RX 7900 XTXとRX 7900 XTですが発売後のレビューでは競合として置いていたNVIDIAのGeForce RTX 4080並みか若干超えるようなラスタライズ性能を発揮するなど評価としては高くなっていますが、リーク情報を扱うTwitterユーザーやYoutuberによるとこのRadeon RX 7900 XTXとRX 7900 XTに搭載されているNavi 31 GPUに関しては何かしらのバグを抱えたまま発売を迎えた可能性が指摘されています。
GPUやCPU関係のリーク情報を扱う、Moore’s Law is DeadがAMD関係者から入手した情報によると、多くの関係者がRDNA3について何か問題が発生したようで想定より大幅にパフォーマンスが低いとの事です。
ソース①は発売直前までバグだらけだったという話は聞いておらず何が起きたか分からないが、元々はRTX 4090をターゲットに据え置いていたものの、実際のスコアを見ると低く混乱している。
ソース②はRDNA3担当者と最近関わる機会はないものの、2021年頃はRDNA3はRadeonにとってのZen2のような製品になると大々的に社内で公表されていたようですが、最近になって同僚などからRDNA3についてバグが存在するという話を聞いているとの事です。このバグが回復不能なのかは不明との事です。
ソース③はRadeonチームで働いているもののRDNA3に直接は関わっていないようです。ただ、RDNA3についてアーキテクチャーに致命的な弱点があるものではないとのことです。ただ、少なくとも現在出ているパフォーマンスは我々の想定を下回っており、何かやらかしたのは確かです。個人的な推察としてはRDNA3のアーキテクチャー自体にポテンシャルはあるものの、マイナーなバグが積み重なりパフォーマンスが安定しないという状況でドライバー改良を通じて直せるものと考えられます。ただ正直に言うとポテンシャルベースで数十万円の買い物をする事はおすすめしない。
このように何か発売直前なのかAMDが想定していなかった自体がRDNA3に起きた事は確かなようです。また、情報を提供したAMD関係者についてはクリスマスや年末年始返上でドライバー改良に取り組む事が急遽決められたとの事で、今後ドライバーを中心に何かしらの改善を行うようです。
Moore’s Law is Deadの関係者はハードウェアレベルでバグが存在するかどうかは明言されていませんが、Twitter上でリーク情報を扱うユーザーからはハードウェアバグ説も出ておりNavi 31だけではなくエントリー向けのNavi 33も影響を受ける可能性があるようです。
Navi 31にはハードウェアバグが存在する模様。Navi 33やPhoenix APUも影響を受ける可能性
N33 share similar hardware bugs N31.
Bugs found late to fix.
N32 & Phoenix mostly fix.
RDNA3+ true full fix.
— All The Watts!! (@All_The_Watts) December 12, 2022
最近、AMD関係の情報をリークしているAll The Watts氏によると、Navi 31に関してはハードウェアに起因するバグがあるようですが、発見した時には既に手遅れだったようです。
似たアーキテクチャーを採用するエントリー向けGPUのNavi 33でも同様のバグを抱えたままとなるようです。一方で、Navi 32やPhoenix APUではバグの多くが修正され、2023年末から2024年初めに投入が予定されているRDNA3+ではバグが完全に修正されるとの事です。
なお、このハードウェアバグの一つはシェーダープリフェッチハードウェア*関連と見られており、Kepler氏がRDNA3関連のGithub情報を載せています。
*シェーダープリフェッチハードウェアとは簡単に言うとシェーダーに流すデータを事前に用意する事で待ち時間を減らし、処理速度を上げるためのハードウェアです。
So AMD decided to release Navi31 A0 silicon, which is known to have a non-working shader prefetch HW 🤦♂️🤦♂️🤦♂️🤦♂️https://t.co/cQTRKynN0B pic.twitter.com/CIdv6GUcYW
— Kepler (@Kepler_L2) December 14, 2022
ツイートに掲載されている画像では、Navi 31を指すGFX1100、Navi 33を指すGFX1102とPhoenix APUを指すGFX1103について上述のプリフェッチハードウェアが無効化される事が記載されています。
このコードのコメントにはA0チップのみ無効化され、他のチップでは不要とも記載されています。
part 2 thread delayed (yes again) while i investigate the fuck is going on here
(absolutely mismatched steppings) pic.twitter.com/oqoF73YhUn— david “5 GHz” bepo (no to war) (@davidbepo) December 14, 2022
しかし、Radeon RX 7900 XTXを解析したdavidbepo氏によると、販売されているRadeon RX 7900 XTXをGPU-ZにかけるとC8チップと記載はされているものの、VBIOSを解析するとA0チップである事が明らかになっています。
そのため、市販されているRadeon RX 7900 XTXおよびRX 7900 XTについては少なくともシェーダープリフェッチハードウェアなどが無効化されているA0チップ、つまり初期チップ相当のものが搭載されているようです。
発表時点より性能が落ちている原因がこれ?発売直前で発覚した可能性
AMDのRadeon RX 7900 XTXについてはRX 6950 XTに対して最小でも1.5倍、最大1.7倍性能が向上すると発表会時点では言われていました。
しかし、各レビューでは4KでのゲーミングはRX 6950 XTに対して1.3~1.4倍程度のパフォーマンスが平均値となっておりAMDが示した性能向上代には及ばない結果となっています。
RDNA3についてはかなり期待値は高かったもののいざ出て見るとRTX 4080を上回る性能なものの驚くほどとは言えず、ワットパフォーマンスもRTX 4090やRTX 4080を下回るなど若干期待外れな所がありましたが、ハードウェア起因のバグが原因でこのような結果になっている可能性がありそうです。
このバグがどのタイミングで発覚したのかは不明ですが、AMDでは発表会で開示する性能比較はかなり正確でRX 5000や6000シリーズの時はレビューとほぼ同じ様な数字が出ていました。しかし、RX 7000シリーズに関しては11月の発表時に対してレビューでの結果が大きく異なっているため、もしかしたら発売前の最終チェック段階でバグが発見されてしまったのでしょうかね・・・
一応、Moore’s Law is DeadによるとAMDではドライバーを年末年始返上で改良するという情報も出ているので多少のパフォーマンス向上は出来るかもしれませんが、ハードウェアが起因となるとかなり厳しいと言えそうです。
ただ、性能(ラスタライズ性能)はRX 7900 XTXがRTX 4080を超えるのは事実ですのでもし20万円以下でハイエンドなグラフィックスカードを求めているのであればRadeon RX 7900 XTXやRX 7900 XTを買っても十分に満足のいく体験は出来ると考えられます。
個人的に、コスパを考えるとRTX 4000もRX 7000も避けて次世代に期待するのも選択肢な気がしますがね。
『12月16日19時発売』AMD Radeon RX 7900 XTXとRX 7900 XTの予約在庫情報
すぐに買えるかは分かりませんが、新型PS5と言われている『CFI-1200』のエントリーがAmazonで開始されていますので、欲しい方は早めのエントリーする事がオススメです。
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