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この連載の目的は、今世界で起きている国際問題を、国際政治学の理論やフレームワークで説明することである。理論やフレームワークは、今起きている国際問題の複雑な情報を構造化し、論理的に思考する一助となる。

第11回は、経済安全保障に関する関心が各国で高まる中、中国がどのような戦略で他国に対して経済・技術的優位性を築いているのか分析する。

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中国の「特殊」な経済戦略

第二次世界大戦の原因の一つとなったブロック経済への反省をもとに、国際社会は、GATT・WTO体制に基づく、協調的な自由貿易体制を構築してきた。だが、国家間の協調的な貿易関係には、公平な競争の場で経済競争が行われるような共通のルールが必要である。

中国は、法(ルール)の支配を否定しているため、貿易が依拠する商業構造が、強力でイデオロギー的な動機を持つ中国共産党の意のままになることを意味している。

中国共産党は、さまざまな戦略的分野における技術経済的優位性を追求し、貿易と技術協力という通常ならプラスサム(互恵的)と考えられる活動をゼロサムゲーム(一方的)に歪めている。

世界各国の経済に与える影響

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