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政府は、昨今の国際情勢にかんがみ。防衛力を5年以内に抜本的に強化するため、国の安全保障政策に関する「国家安全保障戦略」「防衛計画の大綱(防衛大綱)」「中期防衛力整備計画(中期防)」の3文書を改定中だ。

最新の報道では、今月12日には自民・公明両党が合意に至り、本日にも閣議決定される見通しであるとされている。

PhotoAC

「航空宇宙自衛隊」という名称

今年に入って間もなくウクライナの惨状を目の当たりにして、わが国政府もようやく国の防衛に危機感を抱き、この改善に本格的に取り組み始めてくれたと、わが国の防衛に携わってきた者として筆者も喜ばしく思っていたところである。

ところが、最近になってこの具体的な内容が徐々に明らかになるにつれ、「これは実際に装備を運用する現場の意見を十分に反映しているのだろうか」という疑念がよぎり始めていた。そんな矢先、次のようなニュースが飛び込んできた。

政府は、航空自衛隊の名称を「航空宇宙自衛隊」に変更することを、年末までに改定する「国家安全保障戦略」などに盛り込む方針を固めた、という。

このニュースを朝出かける前の準備をしながら何気なく聞いた時、思わず「えっ」とテレビのほうに向き直った。するとそこには、「航空宇宙自衛隊」という文字がはっきりと画面に映し出されていたのである。

はっきり言ってこの「航空宇宙自衛隊」という名称には、強烈な違和感がある。なぜならば、そもそも「自衛隊」というのは、「専守防衛」を旨とする日本独自の自衛武装組織であり、「陸(領土)を」守るのが陸上自衛隊、「海(領海)」を守るのが海上自衛隊、そして「空(領空)」を守るのが航空自衛隊ではなかったのか。宇宙にわが国の固有のエリアはない。

ここに防衛(軍事)力を投入するならば、それは最早戦術に特化して「防空任務」に当たる「航空自衛隊」ではなく、宇宙を含めて戦略的に機能する立派な「(空または宇宙)軍」であろう。したがって、「航空宇宙」ときたらこの末尾は「軍」。すなわち、「航空宇宙軍」でなければならない。「航空自衛隊」に宇宙を付ける前に、まず「自衛隊」を「軍」として認めるのが先ではないか

守るべき対象が変わらないのであれば、たとえそれが宇宙を一部活用するものであっても、国軍としての地位が認められてから新たな名称を考えても遅くはあるまい。

当事者らの心境を聞く

自衛隊発足以来のこの名称変更に関して、当事者である空自隊員らも戸惑いを隠せないようである。筆者も陸・海・空それぞれの現役隊員やOBなどに意見を聞いてみた。

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