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ホンダ フィット、 マイナーチェンジで待望のRS追加もMTはなし?? パワーアップでヤリス追撃なるか

 2022年10月7日、ホンダ フィットがマイナーチェンジを果たし、それに合わせて待望のRSが追加となった。その魅力に自動車評論家山本シンヤが迫る。

●ホンダ フィット マイナーチェンジのPOINT
・新グレード「RS」を追加。まずは、e:HEVから
・ガソリンエンジンを1.3Lから1.5Lに変更。力強さと俊敏性が増した
・e:HEVの駆動モーターが14psプラスされ、123psへとパワーアップ
・HOMEなどノーマル系のフロントマスクの形がすっきりした印象に変更

※本稿は2022年11月のものです
文/山本シンヤ、写真/HONDA、ベストカー編集部 ほか、撮影/森山良雄
初出:『ベストカー』2022年12月10日号

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■走りの質にこだわった「RS」新登場

ホンダ フィットRS。今回は新設定のRS e:HEVの走りをメインに、山本氏にレポートしてもらう

 現行、4代目フィットは「心地よさ」というプラスαの価値に注力して開発。しかし、同時期登場のヤリスに対して販売面で苦戦を強いられている。

 その理由は何か? 筆者は心地よさにこだわりすぎて歴代フィットの「元気」や「活発」といったコンパクトハッチの旨みが薄れてしまったことだと分析している。

 そんななか、誕生2年目にして大幅改良が実施された。最大のニュースはファン待望の「RS」の復活だろう。

 エクステリアはRS専用の前後バンパーやグリル、サイドステップ、リアスポイラーなどの採用により、ホノボノ系からキリっと精悍なスタイルへと変身。

 ちなみに、「HOME」などのノーマル系もフロントマスクに手が入り、出っ張ったオデコの表情がスッキリ見えるスマートな形状に変更されている。

■「RS」らしさは感じるか?

 インテリアはイエローステッチを採用した専用コーディネイトによりスポーティさを高めているものの、エクステリアほどの違いはない。

 個人的にはシートやメーター表示などに「RS」を感じさせる演出があってもいいと思った。

 このあたりを開発陣に伝えると「今回はあえて“変えない”という挑戦をした」と言う返事。

 コスト面などを考えれば正論だが、ユーザーはそういったところに「RSを所有する喜び」を感じることをわかってほしい。

 特にメーターはフル液晶で自由が利くわけだから、活かさないのはもったいない。

RSには「スポーツ」モードが設定されているが、物足りなさも

■出力アップは数値以上!

 パワートレーンはRSだけでなく全モデルで変更。ガソリン車は1.3L(98‌ps/12.0kgm)から1.5L(118ps/14.5kgm)に変更。

 ハイブリッド(e:HEV)は1.5L+2モーターという基本構造は不変だが、エンジン出力は98→106psに、走行用モーターは109→123ps(トルクは25.8kgm)と、ともに出力アップ。

 RSはこれに加えてパワートレーンの特性をECON/ノーマルにプラスして、スポーツを追加した3モードに進化している。

 出力アップは数値以上に体感できるレベル。

まずはe:HEVから登場のRS。RSのガソリンエンジンは11月に登場する

 瞬発力はもちろん実用域の力強さ、さらにはエンジンが始動しても回転をなるべく上げない制御などから、いい意味で「電動車感」が増している。

 スポーツモードを選択するとレスポンスのいい加速感、高回転まで回した時のステップシフトの爽快感など、「結構スポーティだよね!」と感じるレベルだ。

 ただ、欲を言えばRSはスポーツがデフォルトで、開発テスト車だったJOY耐マシン(筆者は以前試乗済み)に採用されていた。より出力を重視した制御を活かすモード(スポーツ+……など!?)が欲しい。

■4輪を上手に使い、曲がる

 ブレーキはアクセルOFF時の回生の強さを4段階にコントロールできるパドルを装着。スポーツモードに連動して回生量を増やしてもいいかな……と、個人的には感じた。

 フットワークはRS専用のサスペンションを採用。

 スプリングはフロント4%マイナス/リア26%アップ、ダンパーは前後ともに減衰力アップ。さらにフロントスタビライザー径を4%アップしている。

 その走りはよくも悪くもモヤっとしていたマイナーチェンジ前に比べてクルマがシャキッとした印象で、ノーズがスッとインを向くクルマ好きにとっての理想だと感じた。

 具体的にはステアリングを切った時の応答性のよさに加えて、ノーズが素直にスッとインを向く爽快な感覚とリアのスタビリティの高さによる、安心感のバランスが絶妙だ。

 コーナリング時のロール姿勢やバランスも整えられているので、FF特有のフロントタイヤ依存のコーナリングではなく、4輪を上手に使って曲がっている印象が強い。

スポーティな雰囲気がやや薄いRSのインパネ&シート

■「MTの設定がない」と言う意見もあるが

 乗り心地はノーマル系よりも引き締められているものの、タイヤとサスのバランスによる初期のアタリのよさはノーマルより優しいうえに、フラットなボディコントロールも相まって、スポーティモデルにしては良好と感じた。

 ちなみにRSの意味は「ロード・セーリング」。

 タイプRのように目を三角にしてコーナーを攻めるのではなく、「日常+α」の領域で爽快な走りを狙っている。

 ネットでは「MTの設定がない」と言う意見もあるが、「電動化+スポーティハッチ」の組み合わせは、それを補うだけの魅力があると思う。

RS専用の前後バンパーやサイドステップ、リアスポイラー、アルミホイールなどが採用された。ちなみにヘッドライトも小変更

■ホンダ FIT(e:HEV RS)主要諸元
・全長×全幅×全高:4080×1695×1540mm
・ホイールベース:2530mm
・最小回転半径:5.2m
・車両重量:1210kg
・エンジン:直列4気筒DOHC1496cc
・最高出力:106ps/6000〜6400rpm
・最大トルク:13.0kgm/4500〜5000rpm
・モーター出力/トルク:123ps/25.8kgm
・WLTCモード燃費:27.2km/L
・価格:234万6300円

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