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電動化で上質さを高めた500eとXC40

使いやすさとリーズナブルさが第一義とされるコンパクトカーだが、最近はクラスを超えた上質なインテリアを持つクルマやデザイン性に優れたモデル”小さな高級車”が充実。ここでは、その筆頭格とも言える5台を集め、考察した(前後編)。

【写真21枚】速さや静かさ、スムーズさに美しい佇まいが”小さな高級車”の条件! 

見た目がキュートな電動チンク「フィアット500e オープン」

インテリアは、FIATのロゴが配されたモノグラムのシート表皮や、トリノの街並みが描かれたスマートフォントレイなど、遊び心が満載のデザインだが各部の造りこみはしっかりしている。パワートレインは、最高出力118ps、最大トルク220Nmの電気モーターを搭載。

高性能エンジンではなく、新しいパワートレインを搭載することで、上質さを高めたプレミアムコンパクトカーもある。それがフィアット500eとボルボXC40だ。どちらも100%バッテリーで走る電気自動車(BEV)だ。

愛らしいスタイルが魅力のフィアット500がBEVへと進化したのが500e。エンジンの代わりに118psを発揮する電気モーターを搭載し、床下に配置した42kWhのリチウムイオンバッテリーで335kmの航続距離を誇るこのサブコンパクトBEVは、新時代のパワートレインを味方につけた。シンプルで心地の良いコクピットに収まり、まずはノーマルモードのまま走り出すと、期待どおり動き出しはスムーズで、静粛さを保ったまま、気持ちよくスピードを上げていく。

固定ギアだけに、ガソリンモデルで気になるシフトアップ時の空走感とは無縁であり、アクセルペダルの動きにダイレクトに応えてくれるのが気持ちいい。床下に重量物のバッテリーを積むことで低重心化が図られたおかげで、ボディサイズの割に安定した動きを見せるのも、BEV化の恩恵である。静かにスムーズに加速するモータと、落ち着いた乗り味は、まさに高級車の証。ソフトトップを開け放ち、風を感じながら爽快にドライブする瞬間は、喜びにあふれている。

◆「フィアット500e オープン」SPECIFICATION
全長×全幅×全高=3,630×1,685×1,530mm
ホイールベース=2,320mm
車両重量=1,360kg
モーター種類=交流同期電動機
モーター最高出力=118ps(87kW)/4,000rpm
モーター最大トルク=220Nm(22.4kg-m)/2,000rpm
バッテリー容量=42kWh
サスペンション(F:R)=ストラット:トーションビーム
ブレーキ(F:R)=ディスク:ドラム
タイヤサイズ(F:R)=195/55R16:195/55R16
車両本体価格(税込)=5,200,000円
問い合わせ先=ステランティスジャパン 

ボルボXC40のピュアEV版「ボルボ XC40 リチャージ アルティメット ツインモーター」

XC40リチャージは、XC40から採用されたCMAプラットフォームをベースとしながら、駆動用バッテリー搭載やエンジンの非搭載化に合わせて、フロントセクションやフロア構造をBEV専用設計に。ツインモーターは408ps/660Nmで、航続距離は484kmを実現する。

プレミアムコンパクトSUVのXC40は、BEV化により一段とレベルアップを果たした例。ボルボの中ではエントリーモデルに位置づけられるXC40だが、その内装の美しさ、仕立ての良さはクラストップレベル。安全性は高いが、無骨なイメージだったボルボからは想像できないほどの進化である。パワートレインの電動化にも積極的で、いまやガソリンエンジン車はすべて48Vマイルドハイブリッドシステムを搭載し、BEVも、1モーターのXC40リチャージ プラス シングルモーターと2モーターのXC40リチャージ アルティメット ツインモーターを設定。全グレードで電動化を成し遂げている。

この中から、今回は最上級グレードのXC40リチャージ・アルティメット・ツインモーターを引っ張り出したが、その走りには圧倒されるばかりだ。このクルマには前後それぞれに、最高出力204ps、最大トルク330Nmの電気モーターを搭載することで4WDを構成。アクセルペダルを軽く踏むだけで、2,150kgのボディがスッと動き出す。そこからの加速も実に力強く、そのうえスムーズにスピードを上げていくのはBEVならでは。いかに。

しかもこのXC40リチャージ・アルティメット・ツインモーターは、とにかく速い。アクセルペダルを強く踏み込めば、背中がシートに押しつけられる鋭い加速に、高級なエンジン車でも、真似できない気持ちよさだ襲われるほど。大トルクを4輪で受けとめるだけに、フル加速時でも挙動は安定しきっており、涼しい顔をしたまま静かなキャビンで圧倒的な加速が味わえるのは、快感以外の何物でもない。一方、巧みなパワー制御のおかげで、加減速にともなう前後方向の動きはよく抑えられており、同じXC40の1モーター仕様よりも洗練されている印象である。

◆「ボルボ XC40 リチャージ アルティメット ツインモーター」SPECIFICATION
全長×全幅×全高=4,440×1,875×1,650mm
ホイールベース=2,700mm
車両重量=2,150kg
モーター=交流同期電動機
モーター最高出力=408ps(200kW)/4,350-13,900rpm
モーター最大トルク=660Nm(67.3kg-m)/0-4,350rpm
バッテリー容量=78kWh
サスペンション(F:R)=ストラット:マルチリンク
ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク
タイヤサイズ(F:R)=235/45R20:255/40R20
車両本体価格(税込)=6,790,000円
問い合わせ先=ボルボ・カー・ジャパン 

5台の中で満足度はDS4が一番かもしれない

フランス発の個性派ラグジャリー「DSオートモビル DS4 リヴォリ ピュアテック」

DS4の全長は4415mmとし、プレミアムCセグメントのライバルより長くすることで、より流麗で彫刻的なプロポーションを実現。テールランプには、レーザーエンボス加工が施されたダイヤモンドデザインを採用。パワートレインはガソリン、ディーゼル、PHEVを設定。

もちろん速さや静かさ、スムーズさだけが、小さな高級車の条件ではない。出逢った瞬間から、その美しい佇まいに心を奪われるコンパクトカーもある。最近では、DS4がその筆頭である。「最も美しいクルマ2022」に選出されたDS4は、輝きに満ちたアート作品を思わせるエクステリアに加えて、ドアを開けた瞬間に目に映る美しいコクピットに溜息が出る。”クル・ド・パリ”と呼ばれる美しいクロームアクセントと、整然と並んだ各種スイッチ、ほかでは見ることのできない独特のインストルメントパネルのデザイン、上質なレザーで仕立て上げられたシートなど、肌に触れ、視界に飛び込むすべてのアイテムが、クルマで移動する時間を上質なものに変えてくれる。

実際にクルマを走らせても、前:マクファーソンストラット、後:トーションビームのサスペンションがしなやかな動きを見せ、期待どおりの快適な乗り心地と、上質で落ち着いた挙動を示す。今回の5台の中では最も価格が安いDS4だが、満足度では一番かもしれない。

◆「DSオートモビル DS4 リヴォリ ピュアテック」SPECIFICATION
全長×全幅×全高=4,415×1,830×1,495mm
ホイールベース=2,680mm
車両重量=1,470kg
エンジン種類/排気量=直3DOHC12V+ターボ/1,199cc
最高出力=130ps(96kW)/5,500rpm
最大トルク=230Nm(23.4kg-m)/1,750rpm
トランスミッション=8速AT
サスペンション(F:R)=ストラット:トーションビーム
ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク
タイヤサイズ(F:R)=205/55R19:225/40ZR18
車両本体価格(税込)=5,780,000円
問い合わせ先=ステランティスジャパン 

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