高速道路のサービスエリアに一般道からお買い物スポットとして利用してもらうためのシャトルバスの実証実験が行われている。このバスに乗車したのでレポートする。
文/写真:東出真
編集:古川智規(バスマガジン編集部)
高速道路SAはとても優秀なお買い物スポット?
高速道路のサービスエリアといえばどのようなイメージをお持ちだろうか。高速道路に設けられたオアシス、休憩所であるのはもちろん、最近は設備やグルメも充実しており 目的地に向かう途中に立ち寄る場所からサービスエリアを楽しむために向かうというほどに人気ある施設になっている。
もちろんSAを利用するには車で高速道路を使うのが基本であるが、最近は一般道から利用できる「ふらっとパーク」も各所で増えてきている。
ただそうではなく、バスでサービスエリアに向かえうことができればどうだろうか。昨年から実証実験が行われているところがあるということで、実際どのようなことが出来るのか体験しに行ってきた。
その実験が行われているのは、静岡県沼津市である。2022年10月より沼津駅と新東名高速道路にある駿河湾沼津サービスエリア、そして経路上にある商業施設のららぽーと沼津の3箇所を結んで実施されている。
ららぽーと沼津は2019年10月4日にオープンした商業施設で、このエリアである沼津・長泉北部地域の周遊観光の促進のため「お出掛けシャトルバス」として実証運行が2月10日までの平日に実施されることになった。
なお本路線は地域一体となった観光地の再生・観光サービスの高付加価値化事業による実証運行となっている。運行は富士急シティバスが行い、なんとトイレ付きの高速バスタイプ車両を使用している。
まず向かったのは商業施設のららぽーと沼津である。ここから駿河湾沼津サービスエリアに向かうバスが出るので出発時間まで待機する。
バス停は通常使用しているバス停から少し外れた場所にあり、どこにあるのか見つけるのに探してしまうほどだった。またこのバス停には椅子などはなく、待っている間は休めないのでベンチなどあればと思った。
富士山を眺めながらのプチバス旅
出発時間を10分ほど過ぎたくらいにバスがやってきた。ここから乗車するのは筆者1人であった。現在は実証実験中であるので運賃は無料だ。他に乗客もいないのですぐ出発となった。
ららぽーと沼津から駿河湾沼津サービスエリアを目指す。時刻表によれば約20分くらいの乗車時間のようだ。当日は晴れており車窓からは綺麗な富士山を眺めることができた。
運行時刻表によれば、この先はまず駿河湾沼津サービスエリアの下り線に立ち寄り、その後に上り線、それから沼津駅へ向かうルートだ。
SAを一般道から利用する!
新東名高速道路にある駿河湾沼津サービスエリアに一般道からアクセスる。平日ということもあり、多くのトラックが駐車していて館内も食事を取る人や買い物を楽しむ人などで賑わっていた。本来であれば次のバスに乗車するとしても30分の時間があるため買い物を楽しむことはできそうだ。
筆者も買い物をして、再度バスに乗るため駐車場へ向かう。ここはサービスエリアからはフェンス1枚挟んだところにあり、一般道からサービスエリアを利用することができる「ふらっとパーク」の駐車場である。
ここでないと買うことのできないお土産物購入やフードコート利用もできるため人気で、この日も多くの車が駐車していた。その一部を使って臨時のバス停を設けているようだった。
次のバスは来てくれるかと、やや心配であったが無事やってきた。運行予定の時間からは約30分の遅れであった。こちらには先に2名乗車していた。
上下線で違う雰囲気
上り線へは約5分とあっという間に到着した。上り線の施設は下り線とは違い南欧風の建物になっていて見た目も違う。また2階には展望台も 設置されていて、そこからは駿河湾を一望することができる。晴れた日はとても眺めがいい。
ドライブであれば景色を見て疲れを癒すというところだが、今回はバスに乗ってやってきているので、ちょっとした観光スポットを訪れている感覚である。ここではもう少し長く滞在できたので館内をゆっくり見て周ることができた。
筆者はこの次に来たバスに乗車し、沼津駅北口へと戻った。時間にするとだいたい午前中いっぱいかかったところである。バスの運行はこのあとも続き16時ごろまで行き来することができる。
よって駿河湾沼津サービスエリアで昼食をとって駿河湾の風景を楽しみながら、ららぽーと沼津で買い物を楽しんで駅に戻ってきたり、またららぽーと沼津に車を置いて駿河湾沼津サービスエリアを楽しんだり、高速道路から反対車線のサービスエリアの施設へバスを利用して行くことも可能だ。
本格運行になるかどうか?
現在は実証実験中であり、得た結果から継続運行できるかどうかの判断になるのだろうが、現段階では平日のみの運行であり、バス停の位置も他の駐車場の一部を間借りした形であるので分かりにくく利用者数も少ないように思えた。改善の余地があるとすれば、このあたりの案内の分かりやすさだろうか。
バスの座席に置かれたアンケートには「事業化に向けて」という記述があり、将来的にはバスで繋ぐ日がやってくるかも知れないが、多くの利用者からの声が必要にも感じた。
期間は限られているが、付近を訪ねる際には積極的に利用して、フィードバックすればより良い運行につながるのではないかと考える。
投稿 高速のS.A.を一般道から利用する実証実験シャトルバスに乗りバスしてみた!! は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。