12月11〜12日、静岡県の富士スピードウェイで2022インタープロトシリーズ POWERED BY KeePerと、2022 KYOJO CUPの最終大会が開催され、インタープロトのプロクラスは坪井翔(NETZ NOVEL MIE)、KYOJO CUPは翁長実希(KeePer VITA)が2022年シーズンのチャンピオンに輝いている。
■インタープロトのプロクラスは第8戦2位の坪井が2度目のチャンピオン獲得
2022年のインタープロトシリーズを締めくくる最終の第4大会は、今シーズン最多となる12台が参戦し、第7戦と第8戦ともに熾烈なバトルが繰り広げられた。
まず11日に行われた公式予選では、今回もタイムアタックのポジション取りで各マシンがライバルを牽制し合う展開となり、チェッカー直前の1周アタックで順位が決まるかたちに。そのなかで1分45秒166を記録した山下健太(NAVUL)が、シーズン2度目のポールポジションを獲得した。
第7戦決勝は、ポールスタートの山下がトップでTGRコーナーを通過するも、背後にぴったりとついた阪口晴南(INGING MOTORSPORT)がトップ浮上のチャンスを伺う展開に。メインストレートからTGR コーナーにかけて、さまざまなアプローチで阪口が何度も並びかけるが、山下もしっかりと牽制しポジションを死守する周回が続いた。
しかし、阪口は諦めずにチャンスを探り続け、8周目のダンロップコーナーでインを突いてオーバーテイクに成功するとトップに浮上。その後も2台による攻防が展開されたが、山下の猛プッシュをしのぎ切った阪口がトップチェッカーを受け、阪口が今季初優勝を飾った。
続いて9周で争われる第8戦がスタート。トップ2台は順当に1コーナーを通過するが、その後方では第7戦で4位だった坪井が宮田莉朋(人馬一体ドライビングアカデミー)をコカ・コーラコーナーでパスし3番手に浮上すると、阪口、山下、坪井のトップ3となった。
さらには最後尾から4番手まで追い上げてきた野尻智紀(J-POINT)もこのトップ集団に追いつき、4台による白熱した首位争いが展開され、第7戦では2位に終わった山下が第8戦ではペースを取り戻して阪口の背後に迫ると、6周目の最終コーナーでインを突きトップを奪い返した。
その後も4台によるバトルはレース終盤まで展開され、山下と阪口の2 台が随所でサイド・バイ・サイドのバトルを繰り広げたが、その背後で逆転を狙っていた坪井が最終ラップの13コーナーで阪口をかわして2番手に浮上する。
4台はそのまま集団の状態でフィニッシュし、山下が今シーズン2勝目を達成。2位には坪井が入り、阪口が3位でチェッカーを受けた。山下から4 位の野尻まではわずか0.337秒差という、インタープロト史上でも稀にみる大接戦となった。
そして、注目のシリーズチャンピオン争いは、坪井が126ポイントを獲得して2019年以来2度目の戴冠を果たした。
「久しぶりのチャンピオンは嬉しいです。最終戦の前はポイントもそれなりにリードしていたので『この感じで行けば……』という思いはありましたが、ここまで追い込まれるとは思いませんでした。今週末はエンジニアといろんなことを考えて試して、その結果が報われたので、非常に良かったです」と坪井は最終大会を振り返った。
ランキング2位には山下と阪口が113ポイントで並んだが、勝利数の多い山下がランキング2位を手にしている。
■KYOJO CUP最終戦は猪爪が今季初勝利。翁長が悲願のチャンピオンに
インタープロトシリーズに併催して開催された2022年KYOJO CUP第4戦。今シーズンの最終戦となった今戦には20台がエントリーし、11日8時から行われた公式予選では、序盤から各車が積極的にタイムを更新し合う展開になった。
25分間の予選セッションでは目まぐるしく順位が入れ替わったが、3戦連続ポール・トゥ・ウインを果たしている翁長が中盤に1分59秒655を記録して4戦連続のポールポジション獲得を果たすと、ポールポジションに付与されるポイントをもって、決勝レースを待たずに自身初のシリーズチャンピオンに輝いた。
その後13時30分から12周で争われた決勝レースは、スタート直後に4台が絡むアクシデントが発生し、レースは1周目から赤旗中断に。幸い4人のドライバーに怪我はなく、マシン回収終了後にセーフティカー先導でレースは再開された。
4周目に入るところでグリーンフラッグが振られたが、そのリスタートでポールスタートの翁長に対して反則スタートのドライブスルーペナルティが科されることに。チャンピオン翁長はこのペナルティで優勝争いから脱落してしまう。
翁長が不在となったトップ争いは、レースウイーク前に坪井との“ドライバー同士結婚”を発表した斎藤愛未(D.D.R VITA-01)、下野璃央(KeePer VITA)、永井歩夢(Dr.DRY VITA)、猪爪杏奈(LHG Racing YLT VITA)の4台によるバトルが展開された。
そのなかで8周目の4ワイドバトルを制した斎藤がトップに浮上すると、徐々に2番手との差をつけていき逃げ切り初優勝を果たすかと思われたが、11周目にブレーキングミスを犯し失速してしまう。その間に猪爪がトップに浮上すると、そのまま逃げ切り今季初優勝を飾った。
斎藤は後続の永井にもかわされ3番手に後退したものの、トップ2に離されることなく食らいついていき、最後のストレートは2台が並んでフィニッシュ。0.035秒差で先にコントロールラインを通過した斎藤が2位、永井は惜しくも斎藤に敗れたものの、3位で自身初表彰台を獲得した。
優勝を飾った猪爪は「最終戦はみんなが前に行きたいという気持ちがぶつかり合い、こういったレース展開になりがちだということは、これまでも経験してきました。なので、何が起こるか分からないので少し引き気味に様子を見ていました」と冷静にレースを振り返る。
「後半はトップ集団がばらけて、2番手で終わるかなと思ったところで前のクルマが失速して、前に出ることができました。あの位置にいたからの優勝だったのかと思います」
そして翁長は、「今シーズンはポールポジションも優勝もファステストラップもすべて獲ろうと思って、今日の途中まではそれが叶っていましたが、最後の最後で自分の集中力が足りなかったり、いつもとは違う気持ちが入ってしまったのか、ミスが出てしまいました」とチャンピオンを獲得しながらも決勝での反則スタートに対するペナルティを悔やんだ。
「自分自身に大きな悔しさを感じて、レースを終えた今は、自信をなくしてしまっている状態ですけど、これを乗り越えていくためには、レースで実力を証明していくしかないので、また来シーズンも頑張りたいと思います」