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余りの高値で入札ストップ! 1億超の値が付いた伝説のNISMO 400Rってどんなクルマ?

 11月17日、中古車オークションで1台の日本車が競売にかけられた。5200万円という初値からして異様だったのだが、そんなことはおかまいなしとばかりにセリ値はぐんぐん上がっていく。

 9000万円を超えても勢いは止まらず、結局、競売システムのリミットである9999万5000円に達してオークションは流札。その後、出品者と応札者が直接連絡を取り合い、1億超で商談がまとまったと噂されている。

 この話題をさらったクルマこそ、NISMO 400R。NISMOが1995年に送り出したR33 GT-Rベースのコンプリートカー(改造済み完成車)だ。はたしてどんなクルマだったのか、ディテールを紹介しよう。

文、写真/ベストカーWeb編集部

【画像ギャラリー】荒ぶる400psのケモノ!! 日産の伝統とNISMOの技術が交錯して誕生したNISMO 400R(14枚)画像ギャラリー


■1990年代のNISMOが送り出した「走る芸術」

日産 スカイラインGT-R(R33型)をベースとして99台限定で生産されたNISMO 400R

 1995年といえば、日本車にまだ「280馬力規制」という足かせが残っていた時代。とはいえ海の向こうから入ってくる輸入車にはその規制は適用されず、ポルシェやフェラーリの圧倒的なパフォーマンスを前に、日本車オーナーはやり場のない悔しさを感じていた。

 GT-RやNSXオーナーはチューニングによってその壁を乗り越えようとしたが、280psオーバーの日本車を手に入れるにはもうひとつ方法があった。

 メーカー直系の技術を持つワークス系ブランドが手がけたコンプリートカーを狙うのだ。1990年代にはさまざまなコンプリートカーが作られたが、その頂点に立つ1台ともいえるのが、NISMOの手がけた400Rである。

 400Rは、日産のモータースポーツ活動を支えてきたNISMOが、持てる技術をすべて注ぎ込んで作り上げたクルマだ。ベースとなったのはR33 GT-R。ノーマルに対して120馬力のパワーと11.8kgmのトルクを上乗せしてなお、街中での扱いやすさや長期の耐久性を備えた傑作といえる。

 エクステリアでなんといっても目を引くのは、オーバーフェンダーによって50mm拡幅されたワイドボディ。

 とはいえモディファイは全身に渡っており、専用デザインの前後バンパーやダブルウィング式のリアスポイラーが凄みを増す。ボンネットはGT-R LM用に作られたエアバルジ付きカーボンタイプに換装されている。

 車高は、ビルシュタイン製ダンパーと強化スプリングによって30mmダウン。足回りのリンク類やブッシュ、デフマウントなどはすべて強化品へと交換済みだ。タイヤサイズは前後とも275/35R18となり、NISMO製LM/GT1鍛造ホイール(10J/18インチ)と組み合される。

心臓部はRB26DETTエンジンをベースにしたNISMOのスペシャルエンジン「RB-X GT2」へと進化。400ps、47.8kgmを絞り出す

 心臓部にもNISMOのノウハウが惜しみなく注がれた。RB26DETTエンジンはNISMOのスペシャルエンジン「RB-X GT2」へと進化。排気量を2771ccまで拡大したうえでECUを専用品に書き換え、N1仕様メタルタービンと強化アクチュエーターを用いた専用ターボチャージャーをビルトインした。

 パワーは車名の由来でもある400ps、最大トルクは47.8kgm。チューンドエンジンにありがちな扱いにくさはなく、普段使いに耐える柔軟性も備える。

 吸排気系はインタークーラーや触媒、エキゾーストパイプに至るまですべて専用品へと交換。クラッチは軽量クロモリの8.5インチツインプレートをおごり、大トルクへの備えとしている。

 インテリアはどうか。ステアリングは365φの本革巻きスポーツステアリングとなり、メーターパネルは320km/h、1万1000rpmまで刻まれたオリジナルとなる。マテリアルを張り替えられたシートはリクライニングも可能なバケットタイプで、随所に配された「400R」のロゴが、ドライバーの闘志をかき立てた。

 これだけのモディファイを受けていながら、400Rが画期的だったのは、ディーラーの新車保証が受けられたこと。ノーマル品には日産の、チューニングパーツにはNISMOの保証(1年または2万キロ)が付いたのだ。

 1995年2月1日、NISMOは400Rの受注を開始した。販売価格はなんと1200万円(税抜)。生産台数は99台の限定とされたが、実際の生産台数はそれより少ないという情報もある。

 NISMOが作り上げた珠玉のコンプリートカー400R。1億円超という中古車相場も確かにすごいが、その名前が現行スカイラインのグレード名として受け継がれていることが、このクルマのなによりの存在証明なのかもしれない。

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