2000年からテレビ朝日で放映されている刑事ドラマ「相棒」。最新シリーズ(シーズン21)が、2022年10月12日よりスタート。
11月9日の放送で、初代「相棒」であり、14年ぶりに今作で「相棒」に復帰した、寺脇康文さん演じる亀山薫が運転するクルマに、日産「新型エクストレイル」が採用され、話題となっている。同車は、2022年7月に発売となった日産最新SUVである。
亀山薫といえば、初代相棒時代(プレシーズンからシーズン7)に初代エクストレイル(T30型)に乗っていたことがあり、今回のシーズン21でも「(エクストレイルに)新型が登場したし、亀山薫とともに復帰するのでは??」と、一部ファンからは期待されていた。
14年たったいまも亀山薫が愛するエクストレイルの新型の魅力について、ご紹介しよう。
文/吉川賢一
写真/NISSAN、池之平昌信
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インテリアと動性能の上質さはライバル車以上だ
新技術であるVCターボe-POWERと最新のCMF C/Dプラットフォーム、そして4輪駆動制御のe-4ORCEなど、日産が持つ技術がてんこ盛りされ、悪路や雪道もこなす万能SUVに仕上がって登場した、新型エクストレイル。
ボディサイズは、先代よりも全長が短くなったものの、車室内のパッケージングの工夫で後席スペースはより広くなり、ラゲッジも荷室長を増やして開口部も拡大したため、積載量はむしろ増加しているそうだ。
エクステリアデザインは、先代エクストレイルの流れるようなフォルムから一転、ボクシーで無骨なオフロードテイストに変更。初代エクストレイルの特徴であった、「ワイルド&タフ」を思い返すような、厳ついフロントフェイスとなった。
ただし、車両後方までみていくと、Cピラー後方のウィンドウ形状は、先々代のT31、先代のT32の伝統を受け継いだ、「くの字」型を踏襲している。エクストレイルファンにとっては、嬉しいポイントだろう。
新型エクストレイルでもっとも注目なのが、インテリアだ。12.3インチの液晶メーターと、同じく12.3インチのナビゲーションモニター、そして、10.8インチの大型ヘッドアップディスプレイは、ライバルSUVなどと比べてもサイズが大きく、見やすい。センターコンソール周りやダッシュボード周りも、無駄がなくすっきりとした印象で、つくこみの良さを感じる。
そして走りも期待以上。新開発されたe-POWERのレスポンスは抜群に良い。また、減速から再加速したり、コーナーで踏み増しをしても素早く反応してくれるので、テンポよい運転ができる。
e-Pedalは完全停止までは行わないが、滑らかに時速15km程度まで減速してくれるので、停止するには最後のブレーキ操作だけ行えばいい。ロードノイズや風切音はライバルSUVたちよりもワンランク上、とても静かで、動性能も上質だ。
ハイブリッドのみ! 弱点は「価格」の高さ
その半面、弱点は「価格の高さ」だ。日産のマーケティング担当者によると、エクストレイルのようなL/Mクラスを購入するユーザーの年齢層は、ここ10年で40代以上の比率が増加(66%→75%)しているという。
また、このセグメントの購入価格帯も350万円以上が過半数を占め、「タフさ(走破性)」だけでなく「上質さ」が、さらに求められる傾向があるそうだ。
初代エクストレイルを当時、20代で購入した世代は、現在40代。体力にはまだ自信があり、若いころよりも懐に余裕が出て、目が肥えてより上質なクルマを求めるようになっている、ということなのだろう。
新型エクストレイルは、そのニーズにぴったりとあてはまるモデルに価格設定した、ということだと思われるが、とはいえ、ガソリン車がなく全グレードがハイブリッド車、かつ、4WDの最低価格が税込347万円(S e-4ORCE)というのはちょっと高い。
RAV4は4WDガソリンが税込316万円から、ハリアーも4WDガソリンが税込332万円から販売されており、これに対応するグレードがないことは、新型エクストレイルの大きな弱点だ。
海外市場で販売する、VCターボのガソリン車を出してほしいと思うが、「電動化戦略」を進めたい国内日産としては、新型エクストレイルに「あえて」出さないという判断をしたという。
先日登場した新型セレナでは、「(廉価な)ガソリン車を望むお客様の声が多い」として、ガソリン車を残していることを考えると、「国内は全車電動車(e-POWERとBEV)にこだわる」という姿勢ではなく、二枚舌とも思える点は、いまいち腑に落ちないところでもある。
ミドルグレードのX e-4ORCE以上を狙いたい
ただ、クルマの完成度は高く、コストパフォーマンスは非常に高い。新型エクストレイルの売れ筋はミドルグレードの「X e-4ORCE」(税込379万円)と予測されるが、先代ハイブリッドよりも(価格も少々上がってはいるが)装備はワンランク以上、上級移行している。
上級グレードの「G e-4ORCE」(税込449万円)となれば、ワンランク上の贅沢な内装も備わり、そうとう優雅なSUVとなるが、価格も大きく跳ね上がってしまう。
プロパイロットと12.3インチのセンターディスプレイ(エントリーグレードのSは7インチサイズ)が備わるのはXグレード以上であることを考えれば、新型エクストレイルの「旨味」を味わうには、X以上が適切だろう。なおX e-4ORCEには3列シート車も設定がある。
個人的には、シリーズで唯一20インチホイールを装着した、エクストレイルAUTECH e-4ORCE(446万円)をお勧めしたい。装備の中身は「X e-4ORCE」相当で、エクステリアとインテリアには、AUTECHならではのブルーを基調とした加飾が広く加えられており、特別感を味わうことができる。
■まとめ
心配される納期だが、とある日産ディーラーによると、在庫車であれば比較的早く手に入るかもしれないが、新規発注となると、一年待ちは覚悟する必要があるそうだ。
こればかりはどうしようもないところだが、ヴェゼルやハリアー、RAV4、カローラクロスの納期状況を見ても、明るい話題は一切ない。状況が好転するのを待つしかないようだ。
ドラマ「相棒」にはこれまで、シルフィやティアナ、R35型GT-Rやフィガロ、スカイラインなど、日産車が多く登場している。シーズン21では、アリアやサクラ、新型フェアレディZなどの登場はあるのか!??
今後の「相棒」からも目が離せない。
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投稿 『相棒』に亀山薫が復帰! 劇中の「亀山の相棒」日産エクストレイル の魅力を再検証!! は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。