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 国産大型車メーカー4社の2022年大中型トラック新車販売台数は、前年比33.3%マイナスの5万5875台だった。半導体不足による生産不順が最大の要因で、さらに日野自動車での出荷停止も重なり、新車トラックの供給不足が深刻化したまま、2023年を迎えた。

文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部

半導体不足と不祥事が影響

いすゞが2022年1~12月の新車トラック(大中型)でトップに
いすゞが2022年1~12月の新車トラック(大中型)でトップに

 日本自動車販売協会連合会(自販連)は1月11日、2022年1~12月期における国産大型車メーカー4社の大中型トラック(最大積載量3トン以上の貨物自動車)の新車販売台数を発表した。4社合計5万5875台という実績値は、東日本大震災が発生した2011年(5万3244台)なみ。また、過去10年で最も高い実績だった2016年(9万4769台)と比べ、その6割にとどまる値である。

 このうち、いすゞ自動車は2万191台で対前年比30.2%減となった。いっぽうシェアは36%で4社中トップとなる。半期ごとの実績は上半期(1~6月)・下半期(7~12月)ともにマイナスだが、下半期の減少幅はやや縮まった。

 2位の日野自動車は1万5547台、対前年比51.4%減で半減した。シェアは27.8%。認証不正問題によって昨年3月以降、主力となる大型・中型モデルの出荷停止が続いており、8月以降はほぼ7割のマイナスが続いた。そのため令和4年度(4~3月期)実績が、さらに大きな落ち込みとなるのは確実。いっぽう昨年11月、同社が大型トラック主力モデルの型式指定を再申請しており、これが取得できた場合、市場への復帰が可能となる。

 3位の三菱ふそうトラック・バスは1万529台、対前年比22.7%減となった。シェアは18.8%。こちらも上半期・下半期ともにマイナスだが、同社の決算月である12月単月の実績が対前年同月を上回ったことから、下半期の減少幅も約1割減に抑えられた。

例外的に対前年プラスだったUD

 4位のUDトラックスは9608台、対前年比4.3%増で4社中唯一のプラス実績となった。シェアは5.6ポイントアップの17.2%。また上半期・下半期ともに対前年増となっている。

 例外的な販売状況の理由について、UDトラックスでは「半導体については、部品の調達先を多角化してきたことから、その供給状況がほぼ安定していた。生産についても、昨年5月に上海のロックダウンの影響を受けて操業を停止したが、それも数日間にとどめられた。納期を延期させていただくなどの影響はあったが、比較的ダメージが少なかった」(広報)と話している。

 半導体は、トラックやエンジンはもちろん、クルマを構成するさまざまな部品・アッセンブリ、コンポーネントに組み込まれているため、それらを供給するサプライヤの段階でも生産不順が発生している。つまり、トラック生産に必要なモノが、なかなか同時に揃わないのが生産不順の実態である。各社とも生産不順による受注残を抱えたまま、次年度へ突入することになりそうだ。

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