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<p><特報>日本一深い六本木駅 EV故障も復旧めど立たず</p><p><特報>日本一深い六本木駅 EV故障も復旧めど立たず 製造元の海外メーカーがすでに日本から撤退しているのが原因。深さ約42メートルの地下7階にあるホームのエレベーターが使えないため、車いすを利用する人らは迂回する必要があるという。</p><p>地下鉄駅として国内で最も深い場所にある都営地下鉄大江戸線の六本木駅(東京都港区)で、エレベーターが故障したのに部品が調達できず、復旧のめどが立っていないことが…</p><p>地下鉄駅として国内で最も深い場所にある都営地下鉄大江戸線の六本木駅(東京都港区)で、エレベーターが故障したのに部品が調達できず、復旧のめどが立っていないことが13日、都への取材で分かった。製造元の海外メーカーがすでに日本から撤退しているのが原因。深さ約42メートルの地下7階にあるホームのエレベーターが使えないため、車いすを利用する人らは迂回(うかい)する必要があるという。公共交通機関のバリアフリー設備を巡り、発注や維持管理の在り方が問われそうだ。 都交通局によると、昨年12月17日夜に地下5階のホームから地下1階の改札を結ぶエレベーター(2号機)が故障。駆動装置に不具合が見つかった。このエレベーターはフィンランドのコネ社製だったが、同社は日本から撤退していたため、部品をフィンランドから輸入しなければならないことが判明したという。 六本木駅のホームは上下2層構造。地下7階にある大門方面行きのホームと、地下5階にある新宿方面ホームに分かれている。上下のホームを結ぶエレベーター(3号機)もコネ社製だったことから、都交通局は3号機の駆動装置を流用し昨年12月23日夜に故障した2号機を復旧。代わりに、3号機は使えなくなった。 都交通局は「お客さまには大変ご不便をおかけするが、東京メトロなどの他路線を利用するなど迂回(うかい)をお願いしたい」としている。 故障したコネ社製のエレベーターの部品を調達できず、別のエレベーターの部品を流用する応急措置が取られた=令和4年12月23日、東京都港区の都営大江戸線六本木駅(大竹直樹撮影) 今回は海外メーカーの撤退によって公共交通機関の利用者が不利益を被る形となった。鉄道ジャーナリストで都市交通史研究家の枝久保達也氏は「駅のバリアフリー設備は長期にわたり使用する重要なインフラの一部。故障時の対応やメンテナンス、部品供給の維持もしっかりと考えて発注すべきだ」との見解を示す。 平成12年に全線開通した大江戸線では、複数の駅に設置されたエレベーターの入札でコネ社などの共同企業体(JV)が受注。他の駅では別のメーカーのものに更新されたが、六本木駅はコネ社製のままだった。 設置当初から保守業務を請け負っている東芝エレベータ(川崎市)は、故障した部品の調達時期について、「現時点では未定」としている。同社によると、故障したエレベーターは年1回の法定点検に加え月1回の保守点検を実施。昨年12月9日の点検では異常や不具合はなかったという。 インフラの維持管理を巡っては、不具合が生じてから修繕など対策を講じる「事後保全」から、損傷や劣化が進行し不具合が生じる前に対策する「予防保全」への転換が求められている。インフラ問題に詳しい東洋大の根本祐二教授(公共政策)は「エレベーターだけでなく、建物の設備は建物本体よりも早く劣化が進行する」と指摘。「壊れて使えなくなる前に予防的に保全しておく必要がある。設置当初から『ライフサイクルコスト』(維持管理にかかる総費用)を考えて計画することが大切だ」と強調した。(大竹直樹)</p>