アストンマーティンのチーム代表からアルピーヌの代表という衝撃的な転身から1年が経った現在、オットマー・サフナウアーは2023年にチームが改善すべきだと彼が考えている分野について、確固たる考えを持っている。
サフナウアーの考えには、エステバン・オコンへの期待の高まりも含まれている。2022年、オコンはドライバーズ選手権ではチームメイトのフェルナンド・アロンソを抜き、これまでで最も上の順位でシーズンをフィニッシュしたものの、アロンソのマシンの信頼性の低さに助けられた部分もあった。
アロンソは冬にチームを去り、元アルファタウリのピエール・ガスリーが後任として加入する。サフナウアーは、特にチームメイトと仕事をしていく点について、オコンをもっと見ていきたいと考えている。
「チームメイトが隣にいる時は、彼はおそらくもっといい判断を下す必要があるだろう」とサフナウアーは語った。「チームメイトであろうとなかろうと、ファーストラップで勝つことはできない」
オコンは2016年にマノーからF1デビューを飾って以来、チームメイトと同士討ちをすることでますます知られていくようになった。フォースインディアではセルジオ・ペレスと接触を繰り返したし、さらに最近では2022年の終盤のレースでもアロンソと接触していた。
「競争相手に対してアグレッシブになり、ふたりともコースアウトすればどちらも負けることになる」
「もしチームメイトに対してアグレッシブになり、ふたりともコースアウトしたら誰が負けると思う? だからよりいい判断をして、考えてみてほしい」
しかしサフナウアーは、オコンがフォースインディアでのキャリア初期の頃からかなりの成長を見せていることを認め、2021年ハンガリーGPでセバスチャン・ベッテルを抑えて優勝したことに言及した。
「エステバンについて本当に満足していることは、彼はプレッシャーがかかっていてもほとんどミスをしないことだ。ベッテルを相手に勝利を挙げた時にそのことを目にした。私はそこにいた。我々にはより速いマシンがあり、彼はミスをしなかった」
「彼は走行し、適切な場所でミラーを使い、ひとつのミスもせずに勝利をつかんだ」とサフナウアーは語り、昨年の日本GPでオコンが4位になったことも彼の才能の表れだったと付け加えた。
「鈴鹿でのウエットとドライコンディションではいっそう印象的だった。ドライブするのに簡単なコースではないが、より速いマシンに乗ったルイス(・ハミルトン)がずっと後ろにいた状態で、彼の前でフィニッシュした」
「だから彼は成長した。その点ではいっそうよくなった。それに彼は速い。彼は改善できるだろうか? できるだろう。我々は彼がより速くなるように、いくつかの分野に取り組むつもりだ」
これはサフナウアーがアルピーヌに着任して以来取り組んでいる、アルピーヌの運営体制の一部のことだ。チームが昨年のコンストラクターズ選手権4位の座を維持し、さらに発展するためには必要なことだ。
「最初にここにきた時にやった大きなことのひとつは、コースにアップグレードを持ち込むのにどれくらいの時間がかかっているのか見ることだった」
「(アップグレードを持ち込むのに)長い時間がかかっていた。私がいた他のチームよりも長かった。小さなサブグループを作って、どうしたら違うやり方をできるか、物事をもう少し早くトンネルから出して、エンジニアリング作業の一部を早められるかを検討した」
「大きな進歩のひとつは、フロアの投入をほぼ半分の時間で行えたことだ。我々には4つの異なるバージョンのフロアがあり、(レースには)それぞれを5台ずつ持ち込まなければならなかった」
「これは大きな部品で、風洞での開発からコースへ持ち込めるようになるまで長い時間がかかる。その時間を短縮できたら、ふたつではなく4つのアップグレードを持ち込むことができるし、そうした方がずっといい」
「それが我々がこの年にうまくやったことのひとつだ。そのおかげで、スタートした時点からマシンが改善していくのを見ることができたと思う」