遠藤イヅルが自身のイラストともに1980年代以降の趣味車、いわゆる”ヤングタイマー”なクルマを振り返るという『ボクらのヤングタイマー列伝』。今回は日本車か英国車で迷った結果、ふと気が付きました。両方を兼ね備えたクルマがあったじゃないかと! というわけで、ホンダ・コンチェルトでフルスイング行きますヨ!!
ボクらのヤングタイマー列伝第28回『フィアット・ブラーボ/ブラーバ』の記事はコチラから
趣味性の高い”小さな高級車”は、あの頃の日本市場には早すぎました!
ホンダ/アキュラの旗艦モデル、『レジェンド』。その初代モデルが英国ローバーとの共同開発車であったことはよく知られています。それまで高級車を作ったことがなかったホンダにとって、高級車作りに長けた英国車のノウハウを得られることは大きく、ローバーも日本の高度な生産技術や高品質なモデルを導入できるメリットがあったのです。
そのローバー×ホンダで生まれた車種の中に、1988年登場の『ホンダ・コンチェルト』がありました。シックで趣味がよい内装と、すっきりしつつも上級車らしさを湛えた外装を持ち、”さすが英国が関わるとこういう雰囲気になるのだな”と思わせる、落ち着いた印象を与えるクルマでした。ルーミーな4ドアセダン以外にも当時日本では”売れない”と決めつけられていた(涙……でも実際、売れなかった)5ドアハッチバックが用意されていたことも欧州車らしいポイントでした。実際には1.5/1.6リッターのSOHC、1.6リッターのDOHCなど、ベースとなったシビック搭載のエンジンがスライドしてコンチェルトにも選ばれており、ローバー×ホンダのタッグと言いつつも実際はホンダ主導で開発されたモデルであることがわかります。しかしこの趣味性の高い”小さな高級車”は、あの頃の日本市場には早すぎました。1991年のフェイスリフトで大きくフロントまわりを変更したものの販売台数アップは叶わず、1992年にドマーニにポジションを譲ったことで消滅。一世代限りの車種になってしまったのです。
一方の共同開発先であるローバーでは3/5ドア、クーペ/カブリオレが『200シリーズ』として、4ドアセダン/ワゴン(ツアラー)が『400シリーズ』として展開されました。ホンダ車ベースでもきちんと英国車、欧州車の見た目を持っているのが特徴です。インテリアの基本はコンチェルトに即しつつも上級仕様では本革と本木目が用意されるあたりも英国車らしいところ。ハッチバックやクーペ、カブリオレはローバーのみのラインナップでした。ということで今回は、その中から”完全に忘れられている”3ドアハッチバックを絵に起こしてみました(笑)。
ところで、ホンダとローバーの提携はレジェンドが最初……と思われがちなのですが、実はその第1号は『トライアンフ・アクレイム』というクルマでした。それがご覧のとおりシビックのセダン、『バラード』そのまま! これがトライアンフ!? という声が思い切り聞こえてきそうですが、でもこのクルマ、日本車ゆえの高品質がウケて当時の英国ではそこそこ売れたというから面白いです。僕らからすれば、これの前身の『ドロマイト』の方が英国車らしい……って、誌幅が尽きましたのでそれについてはまたの機会に(笑)。
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