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 慌ただしい年末年始も間近に迫り、冬の寒さもいよいよこれからが本番。気温が下がるにつれて、風邪をひいたり身体の節々が痛くなったりと体調を崩す人が増えるのと同じように、冬はクルマにとってもさまざまなトラブルが多くなる季節でもある。

 そこで今回は、寒さが本格的になる前に、寒くなると起こりやすいクルマのトラブルと、その予防策をしっかり知って本格的な冬に備えよう。

文/井澤利昭、写真/写真AC

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突然エンジンがかからなくなることも! 冬場に多いバッテリーのトラブル

「低体温車」に要注意!! クルマは寒がり!! 冬にありがちなトラブル予防策
エンジンを停止している際の電圧が12.5Vを下回る場合はバッテリー劣化のサイン。バッテリーの電圧はガソリンスタンドや一部カー用品店などで確認してもらえる

 JAF(日本自動車連盟)が公開している2021年度のロードサービス出動理由の約40%を占めるのが「バッテリー上がり」。クルマのバッテリーは外気温が低いと性能が大きく低下するため、寒くなる冬はバッテリートラブルが特に起こりやすい季節でもある。

 日頃のメンテナンスが十分でなかったり、寿命が近づいている古いバッテリーであればその症状はさらに顕著で、寒い日の朝、突然エンジンがかからなくなる……、という困った状況に陥ることも。

 そんなバッテリートラブルを防ぐには、電圧のチェックや、開放型であればバッテリー液の確認・補充など、日頃のメンテナンスをきちんと行うことが重要だ。セルスターターに元気がない、停車時にヘッドライトなどの灯火類が暗い、ワイパーやパワーウィンドウの動きが重いなど、バッテリーの寿命を感じさせる症状が続くようであれば早めの交換を検討したい。

 また、万一バッテリーが上がってしまった場合の備えとして、他のクルマから電力を分配するための「ブースターケーブル」や、ジャンプスターター機能を備えたモバイルバッテリーを車内に備えておくと安心できる。

そのタイヤ大丈夫? ノーマルタイヤからスタッドレスへの履き替える時の注意点

「低体温車」に要注意!! クルマは寒がり!! 冬にありがちなトラブル予防策
新品から50%摩耗したことを示すスタッドレスタイヤの「プラットホーム」。これが露出したものは冬用タイヤとして性能を満たしておらず、早めの交換がお薦め

 路面凍結によるスリップ事故の防止など、冬に向けたクルマの準備として真っ先に頭に浮かぶのがスタッドレスなど冬用タイヤへの交換。ノーマルタイヤからの履き替えが毎年の恒例行事になっているという人も少なくないだろう。

 積雪が多い地域に住む人はもちろん、最近ではウインターレジャーなどに出かけるための備えてとしても必要不可欠なスタッドレスタイヤだが、冬の間の数カ月間しか使用しないという都合上、保管状態が悪いと予想以上に劣化が進み、パンクやバーストといったトラブルの原因になる。

 履き替えの際はタイヤの状態を必ずチェックし、溝の深さを確認できる「プラットフォーム」が露出しているものや、表面にヒビ割れができているもの、異物が刺さっているものなどは使用を避けるようにしたい。

 また、保管中に抜けてしまった空気圧も合わせて確認しておこう。気温が低い冬はタイヤの空気圧が下がりやすいため、履き替え時はもちろん定期的なチェックで常に適正値を心がけることも大切だ。

 取り外したタイヤは、紫外線や熱によるゴムの劣化を防ぐため、屋内のガレージや物置など日の当たらない場所に保管するのがベスト。やむをえず屋外に保管する場合はタイヤカバーなどを活用し、風通しが良く日陰になる場所に置くようにしたい。

 もちろん野ざらしは厳禁だ。予算に余裕があるのなら一部ディーラーやタイヤ販売店などが行っている保管サービスの利用も検討してみよう。

急いでいる時に限って…凍結したフロントガラスを熱湯で溶かすのはNG!

 寒い日の朝に起こりがちな冬特有のトラブルがフロントガラスの凍結。そのまま走り出すのはもちろん危険だが、早く取り除きたいからと慌てて熱湯をかけるのは絶体にやってはいけない対処法。急激な温度変化でガラスの一部分のみが膨張し、ヒビが入ったり、最悪、割れてしまうことがあるからだ。「水やぬるま湯なら大丈夫では?」と思う人もいるかもしれないが、気温の低い状態では、溶けた氷が再度凍結することもあるのでお薦めはできない。

 また、ついついやってしまいがちなワイパーを動かして拭き取る方法も避けたい。凍結時にはフロントガラスにワイパーが張り付いてことがあり、無理に動かすとワイパーブレードやゴムが変形してしまうことがあるからだ。もちろんハンマーや金属製の道具で氷を叩くのも、ガラスを傷付ける可能性があるため絶対にやめよう。

 凍結したフロントガラスをできるだけ早く溶かすには、市販の解氷スプレーを使用するのが効果的。エンジンを始動し、フロントガラスの曇り止め機能であるエアコンの「デフロスター」を併用すれば、より短い時間で氷を溶かすことができる。

 天気予報で積雪が予想される場合は、カバーをかけて凍結を防いだり、雪の重さで変形の可能性があるワイパーをあらかじめ立てておくなど、前日の駐車時から対策をしておくと安心できる。

豪雪時に前が見えない! ウィンドウウォッシャー液は必ず冬用をチョイス

「低体温車」に要注意!! クルマは寒がり!! 冬にありがちなトラブル予防策
降雪時には使用頻度が高まるウォッシャー液。希釈タイプの場合、冬場は濃度を高めて使用するのが凍結防止につながる

 視界を遮るほどの豪雪時には、フロントガラスに付着した雪が剥がれずそのまま凍ってしまうことも。「スノーブレード」と呼ばれる冬用のワイパーを用意しておけば、そんな危険なシチュエーションにもある程度は対処できるが、気温が低い状態では拭き取って集められた雪がどんどん固まってしまうことがあり、ワイパーだけでは十分な視界を確保できなくなる。

 そこで活躍するのが溜まった雪を洗い流すウィンドウウォッシャー液だが、これが夏用と言われる洗浄成分だけのものだと液自体が凍ってしまい、ノズル部分に詰まって噴射されないことがある。

 また濃縮タイプのウォッシャー液を水で薄め過ぎた場合も同様で、雪が降る可能性のあるこれからの季節は、凍る心配の少ない不凍タイプのウォッシャー液を選びたい。

 冬用のウォッシャー液には凍りにくいという利点に加え、先ほども紹介した解氷スプレーと同じエチレングリコールやイソプロピルアルコールといった成分が含まれているものがあり、雪を溶かしながらワイパーで拭き取ることでさらにクリアな視界を実現できるメリットも併せ持っている。

 雪が多い地域を走るのであれば、常にウォッシャー液は満タンにすることを心がけ、予備のボトルを常備しておくと安心できる。

 寒い季節は愛車のメンテナンスもついつい億劫になりがちだが、気温低下によるクルマのトラブルの多くは、事前の対策で回避できるものが多い。寒さがさらに厳しくなる前に、今からでもしっかり準備をしておきたい。

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投稿 凍ったフロントガラスに熱いお湯をかけるな!!! 冬こそ愛車の寿命を決めるトラブル対策自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。