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画・北村さゆり [PR] 多聞丸は再び会釈をすると、女中の津江のところに行き、握り飯を多めに作るように頼んだ。これから食う分のほか、灰左のもとに向かうまでの兵糧代わりである。 離れで握り飯を頬張っている最中、 「お越しになりました」 と、石掬丸が部屋の中に声を掛けた。 「お主も食っておけ」…