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オリックスは11日、DHC(商号はディーエイチシー、本社・東京都港区)創業者で、同社会長の𠮷田嘉明氏の保有株を買収すると発表した。今年81歳になる吉田氏からの事業承継としての買収で、大手メディアは買収総額は3000億円規模と見られる。

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一方、この日の買収に際し、メディアやSNSは異例とも言える反応を見せた。事業譲渡の動きをいち早く報じた日経電子版は、オリックスが近年投資会社化して積極的に企業買収を進めていることを紹介するなどビジネスニュースに徹していた。しかしリベラル系の人たちは吉田氏が2年前に人種差別的な文書を書いた騒動を蒸し返しはじめた。

日経電子版の有識者コメント欄では、アメリカ出身の女性コンサルタントが騒動後、DHCの商品を買うのをやめたことを明かし、「買収を契機に、差別から卒業していただきたい」と注文をつけた。朝日新聞はオリックス側に騒動の「見解」を問いただし、「弊社は人種などあらゆる差別を容認しないことを人権ポリシーとして定めている」とコメントをすかさず掲載した。

他方、SNSで話題になったのが、DHC子会社が製作するネット番組「真相深入り!虎ノ門ニュース」との関連だ。安倍元首相を支持する保守論客が多く出演し、ユーチューブで常時数十万回の再生回数を誇る“名物番組”だったが、今月18日に終了することが発表されていた。ネットでは「吉田会長がスポンサーとして支えられなくなったのでは」と取り沙汰された。

一部の出演者や番組ファンは新たなスポンサーによる番組継続を渇望しているが、吉田氏が今回のバイアウトで得る巨額の個人資産を投下する選択肢もある。

日経はオリックスが全株式を保有する「完全子会社化をめざす」と報じており、3000億円とも伝えられる買収総額は、吉田氏以外の株主からの取得分も含めていると見られる。では吉田氏の持ち株比率はどの程度なのだろうか。

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