12月12日、ホンダのカスタマーレーシングカー製作を手がけるイタリアのJASモータースポーツは、2023年シーズンのデリバリーを目指し、新型のFL5型ホンダ・シビック・タイプR TCRを発表した。これまでFK2、FK8と二世代に渡って築かれてきた栄光と知見を引き継ぐTCRカテゴリー向け車両となる。
JASモータースポーツはこれまで、WTCC世界ツーリングカー選手権向けのシビック・タイプRを製作してきたほか、シビック・タイプR TCRをFK2、FK8と二世代にわたり開発。またホンダNSX GT3の製作を担当するなど、ホンダのカスタマーレーシングカーの開発を担ってきた。
そんななか、市販のシビック・タイプRは2022年に新たなFL5型にフルモデルチェンジされ、モータースポーツフィールドではスーパー耐久第7戦鈴鹿でHonda R&D ChallengeがST-2クラスに投入。市販車のパフォーマンスアップをそのまま反映するかのような強力な走りをみせたが、プライベーター待望のTCRモデルもついに公開された。
特徴としては、ダウンフォースを改善するためのエクステアリアデザインと空力パッケージ、さらにコーナリング安定性とドライバーの安全性を高めるためのシャシー、ブレーキとミッションのアップグレード、さらに2リッター4気筒ターボエンジンの改善と多岐に渡る。
コクピットは人間工学に基づき洗練され、最新のFIAグローバル・セーフティスタンダードに沿って作成されたまたマルチチャンネル・ドライバーディスプレイを備え、多くの情報を提供する。
また、この車両にはNSX GT3のプログラムを通じて得た知識をベースに、NLSニュルブルクリンク耐久シリーズ、ドバイ等の24Hシリーズ、IMSAミシュラン・パイロット・チャレンジ、スーパー耐久等の長距離イベント向けの『エンデュランスバージョン』が用意される。大きく改良されたクイックフィル給油システムやコクピットディスプレイ、追加ライト、ドライバー冷却システム、ABSが使用可能となる。
新型シビック・タイプR TCRは、12月5日にネストール・ジロラミの手によってイタリアのタツィオ・ヌボラーリ・サーキットでシェイクダウンされ、最初のカスタマー向けにデリバリーされる前に徹底的なトラックテストと開発プログラムを行った後、2023年4月にデリバリーを開始する。
「このプロジェクトに引き続き祝福をもたらしてくれるだけでなく、TCRプログラムを通じ、世界中のカスタマーレースに取り組んでくれることに対し、ホンダに感謝を示したい」というのは、JASモータースポーツのTCRプロジェクトリーダーを務めるマッズ・フィッシャー。
「新しい新型シビック・タイプR TCRは、シャシー、エンジン、サスペンション、ブレーキ等すべてが改良され、これまでNSX GT3とシビック・タイプRで得た幅広い知識を活用し、最も安全でドライバーに優しいコクピットが作成されている」
日本ではスーパー耐久ST-TCRクラス、そしてTCRジャパンシリーズで使用が可能だ。JASモータースポーツは「関心がある関係者は、失望を避けるためにJASに連絡することをお勧めする」と自信をみせている。