もっと詳しく
使ってみると意外と便利!! 「そういえば、付いてたよなぁ」な装備の存在意義

 愛車に備わっていること自体はなんとなく知ってはいるものの、具体的に使うシーンがあまりない、思いつかない……という装備が、現代のクルマには案外あるもの。日頃は意識していないけれど、使いこなせば運転がより快適になる機能や、いざという時に役立つ装備もあるだけに、この機会に知っておこう。

文/井澤利昭、写真/日産、写真AC

正しいドライビングポジションで操作性と快適性を両立「チルト&テレスコピックステアリング」

使ってみると意外と便利!! 「そういえば、付いてたよなぁ」な装備の存在意義
ハンドルのポジション調整は、上下の角度を変えられるチルト機能と前後位置の調整ができるテレスコピック機能に分かれており、それぞれを操作しやすい位置へと変更することができる

 家族でクルマをシェアしている場合やレンタカーなどを利用する際、走り出す前に必要とされるのがドライビングポジションの調整。ほとんどの場合、シートの位置調整だけで済ます人が多いかもしれないが、ここでぜひ活用したいのが「チルト&テレスコピックステアリング」機能だ。

 「チルト&テレスコピックステアリング」とはハンドルの位置調整ができる機能のこと。2つの機能を合わせた名称で、「チルト」がハンドルの上下の角度(高さ)、「テレスコピック」が前後位置と、それぞれをドライバーの体格や好みに合わせて変更することができる。

 一部の車種を除く多くのクルマに備わっており、ステアリングコラムに設けられたレバーや、上位グレードの車種や高級車で採用される電動式では、ボタンひとつで簡単に調整することが可能となっている。

 ハンドルのポジションをきちんと合わせることで操作性が向上するのはもちろん、リラックスした姿勢で運転ができるためロングドライブでの疲労軽減にもつながり、安全性も向上。愛車に「チルト&テレスコピックステアリング」機能が備わっているにもかかわらず使ったことがないという人は、一度試してみてほしい。

スポーツ走行以外でも案外使える!? AT車の「パドルシフト」

使ってみると意外と便利!! 「そういえば、付いてたよなぁ」な装備の存在意義
スポーツカーを中心に、走りに重点を置いたAT車の多くで採用されているパドルシフト。ハンドルから手を放すことなく操作できる位置に、変速用のレバーやボタンが配置されている

 パドルシフトはMT車のようなシフトチェンジをAT車でも可能にするための装備。マニュアルモードやスポーツモードを備える走りが魅力のスポーティなモデルに加え、最近では一部軽自動車などにも採用されており、ハンドルの裏面に取り付けられたパドル(レバー)や、グリップ部分近くに配置されたボタンを操作することで、走りに合わせた任意のシフトポジションをドライバーの意思で選択できるようになっている。

 約30年前、フェラーリのF1マシンで初採用されたセミオートマチックシステムに連動するカタチで誕生したパドルシフトは、数年後、同じくフェラーリの市販モデルへとフィードバックされ、現在では多くのクルマで採用されるポピュラーな装備に。その最大の利点は、ハンドルから手を放すことなく素早いシフト操作が可能な点にほかならない。

 Dレンジで街中を走る際にはほぼ出番のないパドルシフトだけに、スポーツ走行をしないという人にはあまり縁のない装備と思われがちだが、エンジンブレーキを積極的に使用したいアップダウンの激しい峠道などを走る場合には案外便利なもの。

 勾配やカーブに合わせた小まめなシフトアップやシフトダンをハンドルから手を放すことなく安全にできるため、キビキビとしたスムーズな走りをすることを可能としてくれる。

実は機能をオフにするボタンもある「横滑り防止装置」

使ってみると意外と便利!! 「そういえば、付いてたよなぁ」な装備の存在意義
メーカーによってその呼び名はまちまちである「横滑り防止装置」だが、その機能をオフにするボタンのデザインはほぼ共通。クルマのアイコンの下に2本の波線が描かれたマークが目印だ

 安全性の向上を図るため、さまざまな装置の標準化が義務化されている現代のクルマ。代表的な機能として思い浮かぶABSやシートベルトに加え、ここ最近では自動ブレーキやバックカメラなどの後退時車両直後確認装置なども義務化に向けた動きがある。そんななか、すでに義務化され、現在、街中を走るクルマのほとんどに装備されているのが「横滑り防止装置」だ。

 2012年から新型車での装備義務が始まった横滑り防止装置は、カーブを曲がる際にクルマが外側に膨らむアンダーステアや、反対に内側に巻き込んでしまうオーバーステアを抑制する装置。スリップなどのクルマの挙動をセンサーが感知してエンジンの出力を抑えたり、空転するタイヤにブレーキをかけることで車体を安定させる役目を自動で行ってくれている。

 この「横滑り防止装置」はドライバーの判断でオフにできるボタンが付いている。ぬかるみや雪道などにはまって立ち往生し、タイヤが空転して動けなといったシチュエーションで横滑り防止装置が機能してしまうと、アクセルを踏み込んでもエンジンの回転が上がらず、ぬかるみなどから抜け出すことができなく場合があるからだ。

 舗装された都市部のみを走るドライバーにはあまり縁がないボタンではあるが、緊急時に慌てないよう、ボタンの位置や機能をしっかりと理解しておきたい。

できれば使用するシチュエーションには陥りたくない!? AT車の「N」レンジ

使ってみると意外と便利!! 「そういえば、付いてたよなぁ」な装備の存在意義
AT車ではほとんど使う機会のない「N」レンジのシフトポジションだが、トラブルなどで立ち往生したクルマを移動する場合など、緊急時には必要となる

 クルマを走らせる際には必ず操作が必要となるシフトレバー。AT車の場合、走行時に使う「D」やバック走行時の「R」、駐車時やエンジンの始動時に使う「P」など、それぞれのシーンに合わせたシフトポジションが用意されているが、通常の走行ではほぼ使う機会がないのが「N」=ニュートラルポジションだ。

 MT車であれば、長めの信号待ちや渋滞中など、クラッチペダルからから足を離して停止したい場合に使用する機会が多いニュートラルポジションだが、クラッチ操作の必要がないAT車では、停車中であっても基本的にはニュートラルへのシフトチェンジは不要。ではAT車の「N」のポジションはどういった場面で活躍するのだろうか?

 今さらではあるが「N」=ニュートラルポジションとは、エンジンの駆動がミッションやタイヤへと伝わらない「中立」位置のこと。シフトレバーを「N」レンジに入れた状態であれば、アクセルをいくら踏んでも駆動が伝わらないのに加えてタイヤがフリーの状態になるため、ある程度の力で押せばクルマを動かすことができるようになる。何らかのトラブルで立ち往生したクルマを人力で移動したり、レッカーなどでクルマをけん引する場合など「緊急避難」時に活躍するのがこの「N」レンジというわけだ。

 下り坂や渋滞時に使うことで燃費向上の効果があるとも言われたこともあったようだが、それは大昔の話。「N」レンジはあくまで緊急時用のシフトポジションであるだけに、できれば使用するシーンには出合いたくないものだ。

【画像ギャラリー】付いてることは知ってるけど、案外使っていない装備って?(8枚)画像ギャラリー

投稿 使ってみると意外と便利!! 「そういえば、付いてたよなぁ」な装備の存在意義自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。