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頼朝[よりとも]の顔に、一瞬、動揺が走ったのを、朝日[あさひ]御前は見逃さなかった。だが、口にした言葉は冷淡だ。 「それはできぬな」 龍[たつ]姫の整った横顔に、絶望の色が浮かぶ。そんな娘を見つめる頼朝の瞳にも、苦悶[くもん]の色が澱[よど]んでいる。 頼朝は言葉を続ける。 「大姫よ…