デジタル庁が、「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化」を実現するため、社会全体でデジタルについて定期的に振り返り、体験し見直す機会として、2022 年から毎年 10 月の第一日曜日・月曜日の「デジタルの日」そして毎年 10 月を「デジタル月間」と制定しました。
「誰一人取り残されないデジタル化」という観点では、新型コロナウイルス感染症の発生により、企業を取り巻く環境は大きく変化し、大企業に限らず中小企業においてもデジタル化への取り組みが進められています。しかし、中小企業庁の調査*1によると、ビデオ 会議の導入などデジタルを活用して業務効率化に取り組む企業は増えてきているものの、デジタル化によるビジネスモデルの変革や競争力強化に取り組んでいる状態まで達している中小企業の割合は1割程度です。依然として紙や口頭による業務が中心で、デジタル化が図られていない状態の中小企業も 1 割程度存在しており、デジタル化を広く進めていく上ではまだ道半ばであることがうかがえます。一方で、デジタルを最大限活用した場合、総経済価値の約 43 %、つまり 29.3 兆円を中小企業が生み出すと推定されています*2。その鍵となるのがデジタル人材育成です。
中小企業におけるデジタル化の取り組み度 |
中小企業のデジタル化推進の鍵となるデジタル人材
今年の7月に Google で行った「中小企業におけるデジタル化に関する調査」*3 によると、デジタル化を推進し業績向上につなげるための鍵は、企業内でのデジタル変革のリーダーとなる人材の育成であることが分かってきました。
デジタル化が進んでいない、もしくは業績につながっていない企業においては、「人材(ヒト)が確保できていない」と答えた方が 41 %と最も多く、デジタル化に向けた一番のボトルネックになっていることがわかりました。また、デジタル化が進んでいない企業においては、社内でのデジタル人材育成の取り組みは行っているものの思うように進んでいないと答えた割合は 31 %であるのに対し、人材育成が進んでいると答えた割合はわずか 5 %にとどまっており、中小企業内におけるデジタル人材育成の難しさがうかがえます。
中小企業においてはデジタル人材育成が重要な課題であることが分かりましたが、更に掘り下げて、中小企業のデジタル化の取り組みを進めるために、特に必要とされているデジタル人材のタイプを見てみると、「現場のデジタル活用人材」や「エンジニア」や「データサイエンティスト」などの人材に加えて、「全社デジタルトランスフォーメーション(DX)企画/推進者」「全社DXリーダー」といった社内でのデジタル変革を推進できるリーダー人材を求めている声も高くなっており、リーダーと現場の双方が、目的にあったスキルトレーニングを受講できる環境整備が急務であることが分かります。
デジタル化をうまく進めるために必要な社内の人材 |
※「デジタル人材育成に取り組んでいる企業」・「取り組む予定のある企業」のみ集計
デジタル人材育成を支援する Google の取り組み
Google では、中小企業における様々なデジタル人材の育成を支援する取り組みとして、 Grow with Google を 2019 年から開始し、これまで地域やコミュニティを熟知したパートナーの皆様と連携しながら、それぞれのニーズに合わせた多様なトレーニングを提供して参りました。そしてこの秋、受講者 1000 万人を突破しました。新たに特設サイトを公開し、これまでの歩みや取り組み、Grow with Google を活用して社内のデジタルリテラシー向上を推進した企業など、デジタル化の事例などをご紹介しておりますのでぜひご覧ください。
更に、今年 6 月には、Google が主幹事となり、日本中の誰もが活躍できる社会を目指し、あらゆる方のスキル開発を支援する取り組み「日本リスキリングコンソーシアム」の発足を発表しました。日本リスキリングコンソーシアムは、総務省・経済産業省など国や地方自治体、民間企業など 90 以上の 団体が参加し、AI やデジタルマーケティングなど 300 以上の多様なトレーニングプログラムの提供に加え、学んだことを実際に活かすためのジョブマッチングのためのパートナーを紹介しております。
「誰一人取り残さないデジタル化」の実現に向けて、中小企業におけるデジタル化を推進していく為には、 デジタル化による経営課題の解決や生産性向上を促し、デジタル実装まで伴走支援できる体制の強化・拡充が必要になると考えております。
今後もデジタルスキルの向上のための新しい学びの形を提供し、あらゆる人のスキルアップと次世代の教育への支援を行ってまいります。
出典
*1 2022 年版中小企業白書・中小規模企業白書概要
*2 Alphabeta 社 「Economic Impact Report」
*3 2022 年 8 月実施 中小企業経営層対象(経営者・役員) 2,177サンプル