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 N-BOXとかなりいい勝負を繰り広げているダイハツ タント。マイチェンでSUV風モデル「ファンクロス」は追加されたことが話題になっているが、快進撃のワケは本当にそれだけ!? ダイハツディーラーの声とともに、タントのN-BOX追撃作戦を追う。

文:佐々木亘/写真:ダイハツ・ホンダ・ベストカーWeb編集部

■販売台数が大幅改善!難敵N-BOXを追い越すことはできるのか?

タントカスタムは当初この顔。ライバルよりも大人しい印象であり、そこも敗因のひとつと考えたようだ

 2022年上半期に国内で最も販売されたクルマはN-BOXだ。登録車も含め、No.1の座についている。2021年の車名別新車販売ランキングも軽自動車部門でN-BOXがトップであり、7年間トップをキープ。

 ライバルN-BOXに対して、大きく後れを取っていたタントだが、直近の販売実績は回復している。

タントのマイナーチェンジ前となる、2022年9月の新車販売台数では、N-BOXが単月で1万9411台を販売したのに対し、タントは9878台と、約1万台の差が。マイチェン前で販売が伸びにくい時期でもあるが、それを踏まえても、この差は大きい。

 これが1か月後の2022年10月になると大きく変化した。相変わらずの好調な販売実績を続けるN-BOXは1万6369台。対するタントはというと1万4981台と大きく盛り返したのだ。モデルチェンジの効果もあってか、その差は約1,300台と大きく縮まっている。

 続く11月も、N-BOXが1万7474台、タントが1万4998台と若干競り負けている感はあるが、追撃できそうな勢いを感じられるようになってきた。ちなみに直近12月はN-BOXが1万6760台、タントが1万2160台であった。好調のカギはニューモデルのファンクロスが握るのか、それともベース車やカスタムの実力にかかっているのかが、気になるところだ。

■ムーヴからタントへ買い替える人増加中!! タント復権の中身とは

タントシリーズでもっとも人気なのはド迫力フェイスが自慢のカスタム。ついでファンクロス、ノーマルモデルといった順位

 ダイハツから発表されたタントの発売1か月時点での受注台数は約5万台だ。月販目標台数の1万2500台の4倍を超える、好調な立ち上がりとなっている。

 タイプ別の販売構成は、タントが約20%、カスタムが約55%、ファンクロスが約25%となった。それぞれの購入層は明確に分かれており、ファンクロスが新規のユーザーを獲得している現状がよくわかる。

 一方、販売現場で話を聞くと、N-BOXとタントの差を縮めた要因がクッキリと見えてきた。タントからタントへの乗り換えは、これまで保有していたタイプと同タイプへ乗り換える動きが強いようだ。

 タントならタントへ、カスタムならカスタムへ乗り換える。さらに、ダイハツユーザーの中ではムーヴからタントへ乗り換えるという動きも加速しているという。

■N-BOXからの代替えも!? 新規ユーザー獲得のカギはやっぱファンクロスか?

スペーシアギアが人気を獲得するなか、タントもSUV仕立てのモデルを投入。これこそが新規ユーザー獲得に大きな役割を果たしてた!!

 他方、新規ユーザーの動きを見ていると、コンパクトSUVや軽SUVからファンクロスへの乗り換えが多いという。話を聞いたダイハツディーラーでは、ファンクロスを選ぶユーザーの多くが、スズキのクルマに乗っている傾向が強いとのことだ。

 N-BOXユーザーが、タントに乗り換えるケースはあるのか伺うと、「最近だんだんと増えてきた」との回答。N-BOXユーザーから支持を得ているのは、ファンクロスではなく、従来からあるタントやカスタムだという。

 販売の勢いを支える一因として、追加モデルのファンクロスの貢献はあるが、ファンクロスの人気は一過性になるのではと、販売現場は冷静だった。

 それでも、ベースモデルのタントと人気のカスタムの出来が良く、スーパーハイトワゴンの商戦でも十分に戦えるはずと、今回の改良に対するダイハツディーラーの評価は上々だ。タントとカスタムを軸にして、ダイハツの逆襲が始まる予感がする。

■N-BOX追撃のカギは登録車ユーザー!? タント&カスタムで復権か?

同じ軽自動車ながら絶対王者のN-BOXは登録車からの乗り換えが圧倒的!! タントもそれに倣いたいところ

 ダイハツディーラーでは、N-BOXとタントの対比についても聞いてみた。価格や機能面では、新しくなったタントで十二分に戦えるという感じを持っているようだ。従来から好評のミラクルオープンドアは、女性や子育て世代を中心に、根強い支持があるという。こうした点では、タントがN-BOXに負けてはいないという意識は強い。

 一方で、タントがいつまでも軽自動車のイメージを越えていかないという点を問題視する声も聞こえてきた。

 N-BOXは、軽ユーザーはもちろんだが、登録車からの乗り換えが多い印象があるという。逆にタントは軽から軽への乗り換えが圧倒的に多いようだ。

 タントが登録車から乗り換えても、N-BOX同様に満足できるクルマだというイメージを、いかにして市場に浸透させるかが、タントの課題でありN-BOXに勝つカギになると筆者は思う。

 好調に滑り出したタントだが、この勢いをどこまで伸ばせるかは、従来モデルのタントとカスタムの売れ行きにかかっている。タントは、ライバルに手が届く場所までたどり着いた。首位奪還へ課題を克服し、もうひと伸びしてほしいところだ。

【画像ギャラリー】アルファード並みのオラオラ顔がイイ!! 大人気タントカスタムの全貌を(5枚)画像ギャラリー

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